918『ノーライフキング』/いとうせいこう/河出文庫/599円(5%税込)詳細

テレビのバラエティー番組で「頭良い系タレント」としてお馴染みのいとうせいこうの処女作が今回紹介する『ノーライフキング』です。

1988年、今から24年前に書かれたこの小説は、子供達がゲームソフト「ライフキング」にハマって、その攻略に熱中している場面から始まります。

この「ライフキング」には買ってゲームをしてみないとわからないバージョンがⅠ~Ⅳまであり、子供達は自分の「ライフキング」のバージョンを解読する事に夢中になり、大流行の兆しを見せ始めます。

過熱していくブーム……大人やマスコミのバッシング……
「ライフキング」を批判した校長の変死……

時を同じくして、子供達の間にある”噂”が広まりだします。
「ライフキング」には実は五つ目のバージョンが存在し、そのバージョンをプレイした者はクリアできなければ死ぬ。
奇妙な噂に取り憑かれた日本中の子供達は、取り憑かれたようにゲームをプレイし攻略方法を探し始めます。ある子は引きこもり、ゲームの世界に同化し、ある子達は全国チェーンの学習塾のパソコンから日本中の子供たちと繋がり協力してゲームの攻略を目指します。生き残るために。

インターネットも携帯電話もツイッターもFacebookも無かった24年前に書かれたこの小説は、オンラインゲームが大流行している今読んでみても、全く色褪せない面白さです。
24年後の未来を予見していたような内容には本当に驚かされます。

文/ シャポー小岩店・SM

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