210『走ることについて語るときに僕の語ること』/村上春樹/文藝春秋/520円+税外部リンク 
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ごく稀に、"当たり"の本と出会うことがある。
僕にとって、この本はまさにそんな本だ。

何年も前、たまたま仕事帰りの電車の暇つぶしに手に取ったのが本書「走る事について語る時に僕が語ること」だった。
著者の村上春樹さんが、ライフワークとしている「走る」という行為を軸に、作家としてのスタートや創作活動、そして日々のつれづれ等を織り込んで、至極個人的なエピソードをタイトル通り語っている。
走る事、特に長く走ると言う事は、好きと同時に忍耐力が必要だ。
勿論、向き不向きもあるけれど。
村上春樹さんは、走る事を通じて日々のペースをコントロールする。
時には仕事で予定通り走れない事もあるし、気分が乗らない時もある。
でも 走る と自分で決めたルールは、自分と折り合いをつけながら、上手く帳尻合わせしなければならない。

村上春樹さん独特の文章で淡々と語られるエピソードはどれも、軽やかに見えて思慮深く示唆に富んでいる。

僕は年に何度か心も身体も動きが鈍くなる時がある。
そんな時、思い出したように本書を取り出して読み返す。
そうすると、すっかり忘れていた自分のリズムや立ち位置を思い出して、いつしかササクレ立った気持ちが落ち着きを取り戻し、強張った筋肉は余分な力が抜けてくる。

季節と生活の変わり目のこの時期、疲れてるなって感じる事が多くなり、久しぶりにこの本を取り出して読んでいる。

文/ ヨドバシAKIBA店・SS
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