『告白』／町田康／中央公論新社／1,143円＋税
明治時代に実際に起きた事件「河内十人斬り」をモチーフにした長編小説。
主人公熊太郎は思考と言葉が一致しないことにより、生きづらさを感じて生きてきました。
程度の違いはあれど、これは誰もが経験したことがあるのではないかと思います。その点だけでなく、熊太郎と私はとても似ていて、苦しいと同時に救われたようでもありました。
安政から明治にかけてを書いていますが（しかも河内弁）、不意に私たちの日常にある言葉を用いていて、新鮮な読書体験となりました。
笑いとシリアスが見事に同居していて、油断しているとふきだしてしまいます。
しかし、熊五郎の弟分である弥五郎の死に支度には胸がつまりました。
襲撃の場面では戦慄し、熊五郎の最期には涙がこぼれました。
熊太郎の最期を、あなたのその目で見届けてください。
文／
テラスモール湘南店・KM
