image0034月、春のうららかな空気に満ちた上野公園、散り際の桜を惜しみながら、其処ここで賑やかな宴に興じる様子が目に入ります。
この季節は大型企画の美術展が開催される時期でもあり、お目当ての美術館、博物館へと期待に目を輝かせ楽しげな人々が行き交います。
「ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」(2015/4/4~5/17)が開催されているのは、その上野公園の一番奥、東京藝術大学大学美術館。
道行く人も思わず足を止める動と静の葛藤。目ぢから抜群の“おじさん”ふたりの巨大なポスターが象徴するものこそダブル・インパクト。
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アメリカ、ボストン美術館と東京藝術大学のふたつのコレクションを合わせことによって、19世紀後半からはじまる日本と西洋との双方向的な影響関係を再検証しようとする展覧会です。
開国以来、日本が西洋から受けた衝撃(ウェスタン・インパクト)と、来日した西洋人たちが受けたニッポンの文化・芸術に対するインパクト、お互いにとってどのように影響しあい、近代美術が形作られていったのか。
うーん、気になりますっ! 早速展覧会を観に行きたいところですが、ちょっと待った!!

この画期的な美術展を記念して、「ビブリオバトル in 有隣堂」がコラボレーション。
「ダブル・インパクト展×ビブリオバトル in 東京藝術大学」を開催しました!!
美術品、工芸品のみならず、本を通して見えてくるものがあるかもしれません。

特別ゲストとして、ダブル・インパクト展監修の東京藝術大学大学美術館准教授 古田亮先生にもご登場して頂きますよ。ガツン! ガッツン! ガッツン!! とトリプル・インパクトでビブリオバトルも、ダブル・インパクト展もどうぞ楽しみください。
それでは始まります!

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ビブリオバトルはおすすめの本を紹介しあう、コミュニケーションゲーム。
→ルールはとっても簡単。少人数から大人数までいろいろな楽しみ方のできるゲームです。皆さんも気軽にチャレンジしてみてください。

さあ、今回は黒船来航以来の明治期が舞台のダブル・インパクト展とのコラボ、ということで、テーマはこちら!

第1ゲーム「私だけが知っている明治・ニッポン」
第2ゲーム「あなたの知らない異国の美」

一体どんな明治を知ることができるでしょうか?!

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バトラーさんはこちらの5人、あ!古田先生!早速ご登場じゃないですか。
いやいや、ここは逸る気持ちを抑え慌てず騒がず先生の発表順番はやはり最後にお願いしましょう。
ビブリオバトル in 東京藝術大学
開催日2015/4/12(日)
会場東京藝術大学 上野キャンパス
概要第1ゲーム/第2ゲーム/古田先生の見どころ解説
本のテーマ①私だけが知っている 明治・ニッポン
②あなたの知らない異国の美

第1ゲーム、スタート!

一番手は初参加のさくらださん。名は体をあらわす。清々しい笑顔で語ります。

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『新撰組グラフィティ 1834-1868
幕末を駆け抜けた近藤勇と仲間たち』
堀口茉純/実業之日本社/1,500円+税
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「殺戮集団のイメージがあった新撰組でしたが、この本を読んだら、あ、違うんだなと。尊王攘夷運動や、池田屋事件、大政奉還など様々な出来事が起こった混沌とした時代を理解するには分かりやすい1冊。
著者は合格率1%といわれる江戸文化歴史検定1級合格者。つまり物凄く詳しいってことです!」

おすすめの隊士は?との質問に躊躇なく、土方歳三です!と答えるさくらださん。
その理由は、「イケメンで、すごく頭が良くて、手先が器用、最後まで闘うという意思を貫いた人…」と勢いが止まりません。

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続いて落ち着いた物腰の枝広さんです。大学の講義室をお借りした会場にゆったりと登場。

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『明治時代の人生相談』
山田邦紀/幻冬舎文庫/600円+税
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「現在の東京新聞の前身となる都新聞に寄せられた138通の人生相談で、それに応える記者の人たちの回答が辛辣で面白い。袂に入れられたラブレターをどうする?とか男女の相談も多い。
一番好きなのは、“イモリの黒焼きは夜に効くのか?”という質問に対し“炭なんで体にいいはずない”とバッサリ言い切ってるところですねえ」

5分間の講師気分を堪能しご満悦の枝広さん。
明治に生きてた人の話がわかったら面白いんじゃないかと思って探した本だそうです。
奉公人の身近な悩みや回答にも時世を感じさせる興味深い1冊。

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三番手は、足が震えてどうしよう!と緊張度マックスの岩下さん。ビブリオバトルの発表は初挑戦です。

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『明治の面影・フランス人画家 ビゴーの世界』
清水勲/山川出版社/2,300円+税
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「ビゴーは日本人の風刺画を数多く描きました。彼は日本人のことが大嫌い? いいえ、私が好きなのは子供の絵。無邪気におもちゃで遊んでいる。そう、彼は日本が大好き。
巻末に明治28年開催の展覧会で、ダブル・インパクト展にも登場するある画家の感想を書いていますが、素直に褒めませんよ、ぼっこぼこにけなしています。ぜひご一読を」


仕事柄絵本に触れることが多いという岩下さんは、この本から絵が直接感覚に訴えてくる力を感じたそう。
時折熱い口調で語る岩下さんを通して、皮肉でもけなしても画家ビゴーの日本への深い愛情が伝わりますね。

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お次は中林さん。この日は電車トラブルでダイヤが乱れ、ギリギリのご到着に息遣いも荒くスタート。

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『幻の五大美術館と明治の実業家たち』
中野明/祥伝社新書/860円+税
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「激動の明治時代、実業家は裸一貫から財閥までのしあがることができた時代。お金があると名誉を求める、で、古美術収集が流行。また没落大名が放出して国宝級の美術品が手に入る時代でもあった。松方さんは日本人に本物を見せたいという思いがあった。西洋は日本を習いたい、日本は西洋を習いたいというのがあったので実業家たちが活躍したんです」

明治に存在するはずだった5つの美術館の顛末。
ダブル・インパクト展に関連した実業家として原富太郎氏や松方幸次郎氏などなどをあげ、時代の狭間で幻となった夢と無念の思いを溢れんばかりに語る中林さんです。

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さあ、最後のバトラーはダブル・インパクト展監修を務める古田先生です。
4人の発表を何度も頷きながらご覧になって満を持してご登場です。

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『東洋の理想』
岡倉天心/講談社学術文庫/800円+税
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「皆さん本が好きなんですねえ、びっくりしました。さて、この本の冒頭には有名な文句 “アジアはひとつ”とある。この言葉の本当の意味とはなんでしょう? そして最後のおすすめの一行 “内からの勝利か、外からの強大な死か”。謎めいていますね。
この本は、インドで着想を得てイギリスで出版されています。だから天心の言わんとすることは、日本もインドも同じじゃないか、西洋からああしろここしろと言われていいのか、内から、つまり我々から何か起こしていかなければならない、と――(ここで無情のベル!) あ?! これは講義としてダメですねえ(爆笑)」

まさかの時間切れです! これがビブリオバトルの過酷なルール! 司会もつらいところです。
しかし、今日ご参加の皆さんはとってもポジティブであたたかな一体感があります。
ディスカッションタイムでは、続きをぜひ!のナイスフォローが。ありがとうございます!

「(先生、気を取り直して)黒船来航以来、日本は押し寄せる西洋文化に衝撃を受け引け目に感じていました。
天心は“そんなにびびることはない、日本もびっくりしたけど向こうもびっくりしている。日本の昔からある良いものをもっと発展させて行けばいいじゃないか”と言っているんですね」


岡倉天心はこの東京藝術大学の前身である東京美術学校の創設に寄与し、校長を勤めました。
構内の六角堂には岡倉天心像がどっかりと腰を据え、日本の美術の発展を見守っています。

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はあ~、大変濃い第1ゲームとなりました。
この力作力弁の5冊から、一番読んでみたくなった本にひとり一票を投じる投票タイムとなります。これは非常に難しい判断ですね。皆さんが悩む様子が見てとれます。
古田先生を含むバトラーの皆さんも、ご自身が紹介した本以外に一票を入れて頂きますよ。

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緊張の投票の時間。果たして結果は……?

第1ゲームのチャンプ本は、中林さんご紹介
『幻の五大美術館と明治の実業家たち』(中野明/祥伝社新書)
に決定ー!おめでとうございます!

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「この幻となってしまった美術館が実現していたら絶対観に行きたいです」と語る中林さん。
いつかその日がやってくるのでしょうか。まずはぜひ読んでみましょう。

チャンプとなった中林さんへ、東京藝術大学大学美術館さんよりオリジナルお菓子が記念品として贈られました。ありがとうございます!

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画像のご提供/第1ゲームチャンプ 中林さん (ありがとうございます)

バトラーの皆さんも素晴らしい本のご紹介をありがとうございました!!
古田先生はさらに第2部でもご登場頂きますよ。

休憩をはさんで第2ゲーム「あなたの知らない異国の美」が始まりまーす。
→後編へつづく。


文/ビブリオバトルプロジェクトチーム 市川


バトラーさんの実際の発表をYouTubeでご覧いただけます。
こちらの再生リストでどうぞ!
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