korou『孤狼の血』/柚月裕子/角川書店/1,700円+税外部リンク 
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昭和63年広島。その年の6月、新人刑事・日岡秀一は所轄署の捜査2課に配属され、ヤクザとの癒着が噂されるベテラン刑事・大上章吾に初めて出会う。
彼らが担当するのは暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査。
日岡は大上の部下として行動を共にすることになったが、強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いを隠せない。
やがて失踪事件をきっかけにした暴力団同士の抗争が勃発。
衝突を食い止めるため、大上が思いもよらない大胆な秘策を打ち出すのだが…。
この作品はページ数にして411もあり、かなりのボリュームです。
しかもページのほとんどが、大上と行動を共にした約1か月半の間に起こった出来事のすべてに充てられているのですから、日岡にとってこの時期が大変貴重で忘れられなかったことがよくわかります。

大上刑事はやることすべてが滅茶苦茶で、誰が見てもわかるような違法行為を繰り返してばかりですが、「大上なりの正義」を貫こうとする強さと、弱いものを徹底的に守ろうとする優しさを兼ね備えた魅力的な人物として描かれています。
大上の存在は日岡だけでなく、すべての読者に対しても「正義とは何か」「何を信じればいいのか」「正義を貫くには何をするべきか」を考えるきっかけを作ってくれたように思います。

警察組織と仁義なき極道…それぞれのメンツを賭けた攻防戦は、とてもリアルで、フィクションだとわかっているのに、ハラハラドキドキの連続で、最後まで本から目を離すことが出来ませんでした。
男同士がしのぎを削りあう特異な世界を、女性である柚月裕子さんが見事に表現し、書き上げています。

警察小説でありながら、本格的なハードボイルドと呼ぶことも出来る柚月さんの最新作は、第154回直木賞の候補作にもなりました。
これだけ面白い作品なので、周囲の評価が高いのも納得できます。

読みだしたら、夢中になること間違いなし!
ぜひ、一度手に取ってみて、普段接することがないであろう特異な世界に浸ってみて下さい。

本厚木ミロード南館店・KH
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