>> 第157回 直木賞 大予想!|2017.07公開|
 

 
第156回直木賞候補の5作を、受賞予想の鼎談形式でご紹介!
※ この鼎談はフィクションであり、実在する人物・小説上の人物とは関係ありません。

156naoki悠木 さあ、またもや直木賞の季節がやってまいりました。
野口 今回も私たちは本命・対抗・大穴と予想しなくてはならない辛い立場にいます。
平尾 いやぁ、ボリュームのある作品が揃ったな。
悠木 前回に比べて1作品少ないのに原稿の総枚数は多いですからね。
野口 キャリアの長い作家が多い割にフレッシュな顔ぶれという気がしますね。
平尾 恩田陸を除いた4人が初候補か2度目の候補だからな。
悠木 今回の候補作家の平均年齢は44.6歳で、最高齢と最年少の作家の年齢は14才しか離れていないですね。飛びぬけて大御所も若手もいないといった感じですね。
野口 それでは、早速予想してまいりましょう!

候補の5作品をすべてご紹介しています! 続きはこちら
↓↓↓ 



鼎 談 参 加 者
平尾才助 (55歳) --- 書店員歴33年
悠木和雅 (44歳) --- 書店員歴15年
野口魚子 (33歳) --- 書店員歴 6年


蜜蜂と遠雷

恩田陸 『蜜蜂と遠雷』
おんだ りく みつばちとえんらい


幻冬舎/1,800円+税
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悠木
恩田陸は6度目の候補です。
平尾
そろそろ受賞させてやろうよ。
野口
6回目っていうのは縁起がいいんですよ。選考委員の宮部みゆき先生も東野圭吾先生も6回目で受賞しましたから。
悠木
今回候補になっている『蜜蜂と遠雷』は、ピアノコンクールに出場する若者を描いた青春群像劇です。構想12年、取材11年、執筆7年という、まさに力作です。
野口
恩田陸さんは、ミステリー、ファンタジー、SFと、作品ごとに違うカラーを見せてくれる作家ですが、今回の候補作は直球勝負、という感じがしますね。
悠木
4人の中心人物の中で誰が1位になるのか、という面白さはミステリーに通じるものがあります。
平尾
恩田陸の作品は、ラストで突き放されるというか、え!ここで終わりかよ!と思うことが多かったけど、今回は美しく終ったな。
野口
読後感の良さは、『 夜のピクニック 』のようでしたね。
平尾
オレ、クラシックのこと全然分かんないんだけど、この小説読んでたら音楽が聴こえてくるかのようだったもんな。今じゃプロコフィエフ大好き。
悠木
ソリストの孤独や恐怖が痛いほど伝わってきましたが、舞台の上でなければ味わえない高揚感の描き方が見事ですよね。
野口
血の滲むような練習や、本番のプレッシャーを乗り越えた人こそ、あのミュージシャンズ・ハイみたいな境地に至るんだなぁとつくづく思い知りました。
平尾
オレ、ピアニストじゃなくて本当に良かった。
野口
誰も頼んでませんよ。
悠木
あと、音楽のことを書きつつも、これは恩田さんの小説観なんじゃないか、と読める部分もありますね。たとえば、「『弾ける』のと『弾く』のとは似て非なるものであり、両者のあいだには深い溝がある」。
野口
「プロとアマの音の違いは、そこに含まれる情報量の差だ」という文章もありましたね。
平尾
この小説はまさにプロの仕事だよな。


夜行

森見登美彦 『夜行』
もりみ とみひこ やこう


小学館/1,400円+税
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野口
森見登美彦は2度目の候補ですね。
悠木
第137回(平成19年上半期)で、『夜は短し歩けよ乙女』 で候補になって以来です。
平尾
だいぶご無沙汰だったな。
野口
10年前に候補になった時は万城目学も候補で、新しい息吹を感じたんですよ。奇想天外でハチャメチャな作家が二人とも候補になったな!て。
悠木
選評はかなり厳しかったですが。
平尾
あの頃に比べると森見登美彦もだいぶ落ち着いた感があるよな。
野口
今回の候補作はシリアス路線の森見さんですね。
悠木
10年前、鞍馬の火祭で失踪した人物を偲んで集まった5人が、「夜行」という銅版画シリーズに絡む体験を語っていく、という連作短編集です。
平尾
今回は京都だけじゃなくて、尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡と舞台が広がっていて、旅情を感じたな。
悠木
それぞれの不条理で幻想的な体験が語られていくわけですが、最後にあっと驚くことが待っています。
野口
先ほど平尾さんが恩田陸のミステリーは最後に突き放されると仰っていましたが、それこそ、この小説のことじゃないですか?
悠木
冷たい刃のような小説ですね。
平尾
この鋭さが選考委員の先生方にどう受け入れられるかが分かれ目だな。


また、桜の国で

須賀しのぶ 『また、桜の国で』
すが しのぶ また、さくらのくにで


祥伝社/1,850円+税
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悠木
須賀しのぶは初めての候補です。
平尾
いやはや、これはすごい大作だったな。
悠木
第二次大戦中のワルシャワが舞台の長編小説です。在ポーランド日本大使館外務書記生・棚倉慎の目を通して戦争が描かれています。
野口
確かに、大作ですね。前々回候補になった『戦場のコックたち』 を彷彿とさせます。
悠木
こういう作品が候補になるのはいいことだと思いますね。私たちが生きている今の時代に、文学から反戦を考えようという必然的な流れがあるのではないかと思います。
野口
『戦場のコックたち』が候補になった時は、第二次大戦のヨーロッパ戦線を、しかもアメリカ軍の兵士たちを、日本人が日本語で描くことの是非を問う議論が選考会でなされたと聞いています。
悠木
この作品の主人公は日本人外交官ですからね。そこまで揉めないとは思いますが。
平尾
戦争っていうのはデリケートなテーマだからな。浅田次郎先生がどう読まれるのか、すごく気になるところだな。
野口
それにしても、ポーランドってすごく悲惨な体験をした国だったんですね。己の無知を恥じました。
悠木
ロシアとドイツという大国に挟まれ、いいように扱われてきた国です。先の大戦では600万人が犠牲になったと言われています。
野口
一人でも多くの方に読んでほしい作品だと思います。
平尾
今回は初めての候補だからな。もう一作見たいということになるだろうがな。
野口
この作品が受賞しても全然驚きませんね。


十二人の死にたい子どもたち

冲方丁 『十二人の死にたい子どもたち』
うぶかた とう じゅうににんのしにたいこどもたち


文藝春秋/1,550円+税
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悠木
冲方丁は2度目の候補です。
野口
前回は第143回(平成22年上半期)、 『天地明察』 で候補になりました。
平尾
著者初の現代ミステリーという触れ込みだな。確かに、冲方丁もSFから歴史小説まで幅広いジャンルを手掛ける作家だよな。
野口
安楽死するために廃業した病院に集った12人の少年少女たち。そこには既に死体があった。さて、どうしたものか12人で話し合う、というお話です。
平尾
『十二人の怒れる男』が元ネタになってるんだろうな。
悠木
無作為に選ばれた12人の陪審員たちが、殺人事件に対する評決を下すまでを描いた法廷劇ですね。
野口
話し合いが進むにつれ、12人の意見が変わっていく過程が面白いですね。心理戦という感じで。
悠木
12人のキャラクターの描き分けが見事だと思いますよ。
平尾
ただよぉ、オレ最初のほうで一回挫折した。
野口
えぇ! なんでですか?
平尾
次から次へと登場人物が増えていくのに付いていけなくてな。2回目はメモしながら読んだぞ。
野口
ああ、確かに最初のほうは頭使いますね。
平尾
第一章を乗り越えたら相当面白かったな。
悠木
そこがカギを握りますね。


室町無頼

垣根涼介 『室町無頼』
かきね りょうすけ むろまちぶらい


新潮社/1,700円+税
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悠木
垣根涼介は初の候補です。
平尾
ミステリー・エンタメの作家だと思っていたのに、歴史小説でもこんなに面白いもの書くんだな。
野口
歴史小説としては『光秀の定理』 に次いで2作目です。こちらも評判が良かったですね。
平尾
今回候補になった『室町無頼』は、応仁の乱直前の京が舞台だな。
悠木
はい。室町幕府が弱体化して腐敗が進んだ時代の空気がよく描かれています。
野口
落ちぶれた武士の子息・才蔵を中心に、登場する人物たちのキャラが立ってますね。
平尾
あの馬みたいな悪党が良かったよな。
野口
その名も馬切衛門太郎。
平尾
アウトローたちの魅力が満載だな。
野口
才蔵の修行場面も面白かったです。カンフー映画のようで!
平尾
あれ、オレだったら絶対切り刻まれてる!
悠木
ちょっと待ってください。だいたいお二人がこうやって盛り上がる作品は「ライトノベルのよう」と言って選考委員の先生方にバッサリ斬られることが多いんですよ。
平尾・野口
………。
悠木
特に、選考委員の浅田次郎先生は以前、他の文学賞の選考で垣根さんに相当厳しい評価を下しています。
野口
今回のキーマンは浅田次郎先生ということになりそうですね。

平尾
以上、言いたい放題だったが、今回も力のある作品が出揃ったな。
野口
出会えて良かったと思える作品が今回もありました!
悠木
皆様にも是非、全作品読んで予想していただきたいですね。
野口
第156回直木賞、発表は2017/1/19(木)夜です!!
平尾
「該当作なし」だけは何としても避けてほしいな。

文/有隣堂 加藤泉
第156回 直木賞は
恩田陸 『蜜蜂と遠雷』 が受賞しました!
恩田先生、おめでとうございます!!
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