213『怒り』上巻/吉田修一/中央公論新社 中公文庫/600円+税外部リンク 
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映画『怒り』の「ツマブキサトシ×アヤノゴウ」の評判を聞いて見に行ったのですが、この物語に見事に嵌り、見て→読んで→見て→読んで、のサイクルに陥りました。

映画の登場人物たちが切なくて切なくて、映画だけでは気持ちが落ち着かず、あわてて上下巻買い揃え読んでみると、映画のイメージがもっと広がってもう一度スクリーンで見直したくなり映画館へ行き、映画を見ればまた改めて活字で読み込みたくなり・・・・・

映画で見た、沖縄の海と空の色、漁港の親子が暮らす生活感のあふれる家、坂をのぼってたどり着くお墓からの眺め、などなど印象的な景色が活字で読んでいても浮かび上がるし、小説でも映画でも、最初なにげなく読んで、聞いたせりふが、2度目3度目にはドーンと胸に落ちてきたりして、見て読んでのサイクルでこの物語にかなりひきずりこまれました。

個人的な小さな楽しみは、下巻で優馬が地下鉄で恵比寿駅につき、約束まで時間があるので書店のある駅ビルに入ろうとする、という場面があって、恵比寿の駅ビルにある書店で仕事をしているワタシとしては時々、店内に優馬の姿をさがしております。

文/ アトレ恵比寿店・OM


『怒り』下巻
中公文庫/600円+税
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