ひらがなでよめばわかる日本語

『ひらがなでよめばわかる日本語』/中西進/新潮社/430円+税外部リンク 
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「お母さん、お父さん、目はなんで「め」っていうの?」
ことばを覚え始めた子供の頃私たちが抱いていた素朴な疑問に、ひとつの答えをくれる1冊。

自分たちが常日頃当たり前に読み書きし、口に出している母国語、日本語。
成長するにつれ「そういうものだ」とよくわからないままに納得している言葉はありませんか?
民俗学者の柳田國男は、「どんな漢字で書くのか」を気にしてしまう事を「どんな字病」と名づけ警告したと言います。
元々漢字というのは中国から持ってきた言葉ですから、「目」と「芽」など同音異語の多い日本語を明確に区別・断定し便利な反面、日本古来の言葉の意味が薄れてしまうと言うのです。

本書では、そうして薄れゆく日本語がかつて持っていた豊かな意味、内包し表すもの、この言葉を用いていた日本人の独特な感性を指摘しています。

沢山の言葉が紹介されていて、是非ご自分の目でご覧になって頂きたいのですが、なかでも私が素敵だと思ったのが「幸い」です。
ひとくちに幸いと言っても、どんな状態を幸いと言うのか。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」でも「さいわいとは何だろう」という台詞がありますが、古代日本の人々は、この言葉にはっきりとその状態と感性をこめていました。
幸いは「さきはひ」であり、「さき」は「咲き」、「はひ」は「延ひ」。
「心のなかに花が咲きあふれてずっと続く状態」を、日本人は「幸い」だとしたそうです。

このほかにも、冒頭で紹介した「め」、血や父、乳、命、おろちに共通する「ち」の意味するところなど、
ほうほう、へええ! とじっくり読みたくなる1冊です。

文/ アトレ川崎店・AM
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