『江神二郎の洞察』/有栖川有栖/東京創元社/900円+税
有栖川有栖氏の著書はシリーズもの、ノンシリーズものを合わせて多数出版されていますが、シリーズものに関して言えば、火村英生を探偵役に据えた〈作家アリスシリーズ〉と江神二郎を探偵役に据えた〈学生アリスシリーズ〉が二大看板と言えるのではないかと思っています。
本書はその〈学生アリスシリーズ〉初の短編集です。
有栖川有栖氏の著書はシリーズもの、ノンシリーズものを合わせて多数出版されていますが、シリーズものに関して言えば、火村英生を探偵役に据えた〈作家アリスシリーズ〉と江神二郎を探偵役に据えた〈学生アリスシリーズ〉が二大看板と言えるのではないかと思っています。
本書はその〈学生アリスシリーズ〉初の短編集です。
収録されているのは、物語の語り手である有栖川有栖――通常アリス――と江神二郎の出会いを描いた「瑠璃荘事件」を始めとして、アリスが英都大学推理小説研究会(EMC)で過ごす一年を追体験できるような9作品です。
ミステリとしての面白さは勿論のこと、どこかほろ苦くセンチメンタルな読後感を味わえるのは、いつか終わりが来る学生時代を描いているからでしょうか?
個人的なお気に入りは、偶然耳にした他者の通話内容から推理合戦を繰り広げる「四分間では短すぎる」。
四分とは何の時間なのか?
EMCメンバーの推理が辿り着く意外な到達点にあなたも驚くかもしれません……。
文/ 藤沢店・OA