532『めぐり糸』/青山七恵/集英社/1,050円+税外部リンク 
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終戦の年に九段の花街で育った主人公が、これまでの生き様を
夜行列車で泣いている女性に語るスタイルで進んでいく長編小説。
主人公と「哲治」という名の同級生の運命の糸(それは赤くもなく強くもないが、ちぎれる事の決してない糸)が、絡まったり細くなったり太くなったりガサガサに荒れたり透明になったりする物語だと感じた。
こういった糸というのは、運命とか必然とかややこしい話ではなく誰しも持ち合わせていて、いくつも持っている人もいれば1本の人もいると思う。

解説に、著者はこの作品を執筆する契機として『嵐が丘』を挙げているという。
「哲治は・・・・わたしなのよ。」というセリフがリンクしているそうだ。
この感覚は、キラキラ女子な言い方をすればソウルメイトなのかもしれないが 、この二人に関してはそんな言葉では言い表せられない、揺るぎない何かがある。

二度目の結婚で、子ももうけ何不自由なく幸せであったはずなのに、それを 最後には「哲治」のために捨ててしまう主人公。
揺るぎない何かは、きっと本人たちにすらはっきりはわからない何かなのだろうと思う。
  
糸を感じることができたとき、時には戦い、何もかもを犠牲にし、自身さえも 捨て去り、全てを全力で行うべきだと、この小説から伝えられた。

文/ ららぽーと湘南平塚店・IS
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