『映画大好きポンポさん』/杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA メディアファクトリー ジーンピクシブシリーズ/800円+税
創作をするとはどういうことなのか。
本当に彼らは好きなことだけをして生活をしてるのでしょうか。
この漫画には、創作活動をすることでしか自分の存在を証明できない、生きていくことのできない人間たちが出てきます。
創作をするとはどういうことなのか。
本当に彼らは好きなことだけをして生活をしてるのでしょうか。
この漫画には、創作活動をすることでしか自分の存在を証明できない、生きていくことのできない人間たちが出てきます。
この漫画のすばらしいところは、キャラクターたちが死に物狂いでものをつくるわけではない、というところです。
汗水たらして完成に向けてひた走り、そして成功の喜びをわかちあう、と言うような物語ではありません。
では、この物語の魅力はなんなのか。
それは、映画にしか自分の存在価値を見出せなかった新人監督と新人女優が、あまりにも当たり前に、僕たちは創ることしかできないんだ、と言いながら創作活動をする姿です。
『映画の中だけが僕の世界だった』
『もうここ意外に僕の逃げ場所なんてどこにも無くて…映画を撮るか…死ぬか…どっちかしかないんだ……』
と言い切る主人公の姿には、既存の作品とは違った、戦うクリエイターの覚悟を見ることが出来ます。
もちろん現代の漫画に欠かせない魅力的なキャラクターや、的確で効果的なコマ割や構図、圧倒のラストなどももちろん持ち合わせてはいます。
しかし、この漫画には、この漫画にしかない魅力が確実に存在しているのです。
生きるための道がひとつしかない中で戦う彼らの物語。
寒い季節に、熱く胸を震わせるには最適です。
文/ トレッサ横浜店・IG