かってに 『勝手にふるえてろ』/綿矢りさ/文藝春秋 文春文庫/550円+税外部リンク 

「こっち見て」
「おれを見て」
こんなことを言われたら、忘れられないに決まっている。

江藤良香、26歳、会社員。はまっていることは絶滅した動物について調べること。
中学の同級生「イチ」に片思いし続けているが、告白してきた会社の「ニ」と、好意もないまま付き合っている。
ずっと会えてもいないイチと、ニを比べてばかりいる。
「もし完全に私に無関心になればどれだけ素敵だろう。」「本気で私に愛想をつかしてほしい。」などと倒錯的な妄想を、ニの隣でしている。
  
ヨシカの言動は突飛だ。変わっている。おかしい。「勝手にふるえてろ」とは、ヨシカの暴走におののく読者へのメッセージかもとさえ思えてくる。
でも、幸せになれたかどうかを早く知りたくて、願いを込めて、ラストを先読みしてしまった。
「とどきません」と嘆いている「光かがやく手に入らないもの」を、愛情を込めて、どんっ!と投げつけてやりたくなる。
  
リズミカルな文章にはまりながら、「ラブコメ」として楽しめるけれど、意外と、深い「恋愛小説」でもある気がする。

「どうして私は、失わなければそのものの大切さがわからないんだろう。完全に手に入ったままのものなんてないのに」

文/ グランデュオ蒲田店・NA
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