『億男』/川村元気/文藝春秋 文春文庫/680円+税
単行本の新刊台に『億男』という本が積まれているのを見て、大金が当たったら、まずこの本を読もうと密かに思っていた。
どんな決意だと突っ込まれそうだが、その時は、切実にお金でつかめるであろう、自分の望む「幸せ」の形を求めていた。
それから三年半が経ち、文庫の新刊台に『億男』は積まれている。私は、小さくなった『億男』を買った。
安くなったからでも、大金が当たったからでもない。
この本に、「当たったら、買うぞ」という心のお守りになってもらう必要がなくなっていたのだ。
「億男」になった一男は、自分の望む「お金と幸せの答え」を探しに行く。お金があったら、手に入れられるのか、なくても手にいれられるのか。
安くなったからでも、大金が当たったからでもない。
この本に、「当たったら、買うぞ」という心のお守りになってもらう必要がなくなっていたのだ。
「億男」になった一男は、自分の望む「お金と幸せの答え」を探しに行く。お金があったら、手に入れられるのか、なくても手にいれられるのか。
自分の求める幸せとは何なのか。一男の物語に沿って、自問自答をくり返しながら、答えを知りたくて、読み進める。読んだ人にしか答えは、見えない。