559『寺島町奇譚 傑作選』/滝田ゆう/復刊ドットコム/2,500円+税外部リンク 
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タクシー内でのやりとり。
「角筈まで」
「西新宿でしょ?」
「…」

昭和50年代半ばの龍角散のCMより。あたりまえだったことが、次の世代に伝わらない悲しさもどかしさを表現している広告として名高い。
演者は、滝田ゆう。滝田ゆうを、ご存じない方も多くなった。講談社ノベルスの背表紙の犬は、とても身近なのに、描いた作者の名前は、ここ十数年、耳にしない。
『昭和×東京下町セレナーデ 滝田ゆう展』が、東京都文京区の弥生美術館で、平成30年3月25日まで開催されていた。
鮮やかな原画は、まるで昨日描かれたれたかのようにも見え、とても28年前にお亡くなりになった方の作とは、感じられない。
緻密な描写を見てもらうために、虫眼鏡が置いてあるコーナーもあった。

2年ほど前から入手困難になった、滝田ゆうの代表作『寺島町奇譚』が、このたび、復刊ドットコムより傑作選として復刊した。
滝田ゆうを初めて見る若い方には、いかに多くの作家が、滝田ゆうの作風を吸収してきたか、驚くのでは?

玉ノ井の日常のドラマを、ほんわかしたタッチで描いた『寺島町奇譚』は、『蛍の光』という壮絶なお話で終了するが、今回の傑作選には、収録されなかった。完全版を期待したい。

文/ 藤沢店・H.O.
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