764[1]『ビロウな話で恐縮です日記』/三浦しをん/新潮社 新潮文庫/630円+税外部リンク 
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直木賞受賞作の『まほろ駅前多田便利軒』、本屋大賞を受賞した『舟を編む』を始め、面白い小説を多数世に送り出している三浦しをん氏であるが、彼女はエッセイも多数出版されている。私はこのエッセイのことが大好きなのである。

いやこの本はブログの加筆修正なので厳密には違う、が、「日々を面白おかしく綴ったもの」には違いないので
よしとする。

小説内でも彼女のユーモアは当然発揮されているが、エッセイにはブレーキが無い。妄想爆走超特急なのである。
フェロモンムンムンのバレエダンサーを観て肌をテラつかせ、BLを読んでは名作に出会えたと涙し、仕事に追われて自分の事を『ガラスの仮面』に出てくる仕事の鬼、速水真澄だとしたりする。

だいたい本を読んでいるか漫画を読んでいて、時々ライブや観劇に出掛ける、ということで、私も大差ないオタク生活を送っているはずなのだが、彼女の日々は何故こんなに愉快であるのか。
否、私がオタクであるから愉快であるのか……。それはある。ふんだんに盛り込まれた漫画を元にした小ネタは、理解にある程度のオタク的教養が求められる。

だが少なくとも私はこんなに妙なタクシーの運転手に当たらないし、毎晩脳内で藤井フミヤにデコレーションケーキを作る友人もいないのは確かだ。
やはり面白い人の周りには面白い人と事象が集まるものなのだ……。

そんな隙間に時折差し込まれる、少し温度の低く乾いたような、夢の話。
ニヤニヤしながら読んでいるとスッ、と脳を冷めさせてくる、これもまた快楽なのである。
 
小説は読んだことがあるけれど、という方に、大っぴらには薦めにくいが、でも出来れば読んで頂きたい。
ただ公共の場で読む場合は注意されたし。
うっかり噴出して不審人物になったことが、私は、ある。

文/藤沢本町 トレアージュ白旗店・W

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