徴産制『徴産制』/田中兆子/新潮社/1500円+税外部リンク 
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2092年、若い女性に猛威をふるったインフルエンザにより、女性の数が激減した日本。
少子化に歯止めをかけるため、18歳以上31歳未満の男子に最大24ヶ月間女になる義務を課す制度、「徴産制」が施行された。

この作品には5人の男性のケースが語られている。

性転換した結果ブサイクな女になり苦労をした末、女の幸せ?をつかめそうになった時、女になるのか、男に戻って田舎の家と母親の元に帰るのか、悩む男性。

完璧なエリートとして育ち、官僚となり、女性としてもエリートの道を歩むはずが、美しい女性にはなったものの、思ったように妊娠できず、エリート意識がズタズタになる男性。

妻も子もいるので徴産制は免除されているけれど、助成金めあてに女性になり、自分の娘の育児と家事をする男性。

「ありえへん」話ではあるけれど、立場も考え方も違う男性が、女になった自分と格闘し、思いがけない考え方や未来を獲得してゆく。
そのじたばたや過程が面白く、結末も腑に落ちて、それぞれの男性を応援したくなる。
読み物としても面白いし、2092年日本はどうなっているんだろうとか、100%女性や男性っているんだろうかとか、性別が選べたら、あるいは変えることを強制されたらどうするだろうとか、読みながらいろいろと浮かんでくる。

あたりまえと思っていたことに、風穴があいたような、固まっていた考え方にシャワーをかけてほぐされたような、気持ちよさもある小説です。

文/ アトレ目黒店・MT
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