993本日の高座 演芸写真家が見つめる現在と未来』/橘 蓮二/講談社/1,600円+税外部リンク 
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「演芸写真家が見つめる現在と未来」というサブタイトルのこの本は、演芸好きならワクワクせずにはいられない写真が詰まっている。
一枚一枚の写真に声があって間があって、引き込まれる。
橘蓮二さんのカメラにはとても優しくて深い目がついているんじゃないかと思う。

普段客席に座っている私たちには正面の顔がお馴染みだけれど、袖から撮ってらっしゃる写真が多いので横顔が見られるのも、この本の楽しみの一つ。
大好きな師匠の写真ならこれはあの噺のアノ場面だろうか?と思いながらページをめくるのも楽しいし、まだ聴いたことのない師匠の写真は早く聴きにいかなくっちゃというあせった気持ちさえ湧いてくる。

小さな写真一つも見逃せない、口元のしわ一本にもお一人お一人の師匠方の笑い方が見えて、動き出しそうな気がする。

私の特にお気に入りの一枚が、本の帯の後ろのページを見返した所にある三味線を持った左手の写真。
浪曲三味線の沢村豊子師匠の手かなぁ??と思ったのだが、こちらの気分によって小気味のよいセメの場面の撥さばきが見えてきたり、観客を泣かせにかかる愁嘆の音が聞こえてきたり、この写真一枚で何通りにも楽しめる。

講談に縁のある講談社さんから出版されているのも一興。
読んだら早速寄席に出かけたくなります。

文/ アトレ恵比寿店・OM

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