527『性・差別・民俗』/赤松啓介/河出書房新社 河出文庫/830円+税外部リンク 
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無学な私には難しい話ではあるが、当書籍の著者・赤松氏は民俗学の権威といわれている柳田國男とは一線を画しているのが出だしの数ページでよく伝わってくる。
赤松氏の書籍を読むのはこれが初めてではないのだが
ここまでアンチ柳田とは知らなかった。
読み進めていくとアンチ柳田の理由が伝わって来て
なんともなしに共感をしてしまうのが
赤松氏の文体の面白さなのであろうか。

氏が教壇にあがったことがあるのかどうかも知らないが、
当書は教壇から氏が自分勝手に浪々と講義をしている雰囲気である。
テキストも板書もなく、手前勝手に喋っていく、
その実、聞き逃しのできない内容をそこここに織り交ぜていく。
一筋縄にはいかない講義っぷりである。


さて、この赤松氏がなぜアンチ柳田なのかは置いておいて、
氏の地を這うような民俗収集には敬意を払わざるを得ない。
我々のような歴史に名を残すことのない庶民の暮らしそのものを
収集し磨きあげ、書物として残すことそのものが我々自身を
記録として残すことに他ならないからである。

たまたま氏のフィールドワークの現場は兵庫県であったが
これが関東や東京であったら氏は
いかような地域に潜り込んだのであろうか。
想像してみるだけでも面白い。

文/ グランデュオ蒲田店・HK
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