055『三島由紀夫ふたつの謎』/大澤真幸/集英社 集英社新書/940円+税外部リンク 
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日本文学史上最高の知性と讃えながらも、著者は、あの最期を「愚行」と言い切る。
あの最期を受け入れられずに三島そのものを避けることも、あの最期をなかったものとして美しい文体だけを鑑賞するのも、三島由紀夫を読むには不十分だ。
三島は避けて通れない。
『仮面の告白』から『豊饒の海』まで、『金閣寺』をはじめとした三島の代表作を論じながら2つの謎、すなわち三島の死と、『天人五衰』のそれまでの物語のすべてをひっくりかえすラストが書かれた理由を丁寧に丁寧に解いていく。

本書の最後に開示される三島の心象は、たしかにあの最期を選ぶ理由として妥当なものなのか、私にはよく分からなかった。
が、三島の思考を追いながら作品を読み解いていく本書は、さながら心理描写に主眼を置く、高度なミステリ小説のようで、とてもエキサイティングだ。

三島を未読の方でも読める(ときにネタバレありだが)一冊は、三島ファンにはもちろんのこと、不謹慎だが、普通のミステリに飽きた方にもオススメです。

文/ ららぽーと湘南平塚店・HS
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