211『82年生まれ、キム・ジヨン』/チョ・ナムジュ:著 斎藤真理子:訳/筑摩書房/1,500円+税外部リンク 
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セクハラ、マタハラ、医学部の不正入試問題……女性差別は今日の日本でも絶えることのない社会問題だ。
お隣の韓国でも、状況は厳しい。
世界で続々と翻訳が進められているこの大ベストセラー小説は、その切実な現実を、精神科医のカウンセリング記録という形をとって淡々と物語っている。

私自身はこの主人公より20年近く前の60年代生まれだが、幸いにもここまでの女性蔑視を経験はした覚えはない、と思っていた。
それでも、いたる箇所で「そうそう」と頷き、ズキンと胸が痛んだ。
考えてみれば、あれもこれも女性差別のひとつだったのだと思い当たることも多々あった。
そしてふと思い至る。一見、優位な立場に思われる男性たち。その中には、背負わされる過大な期待と重い責任を受けとめきれず、しんどい思いをしている人もきっと大勢いるのだなぁと。
男女の差だけでなく、この世に存在するあらゆる差別が全くなくなるのは難しい。
そしてもちろん時代とともに、何が差別なのかという認識も変わり続けていく。
それでも立場の違う相手の気持ちを、既成概念を振り払って思いやる努力を、決して放棄してはならない。
それがその時代に生きる者の義務なのだと、静かに、だが断固として訴えかけてくる力強い小説だった。

大スター、チョン・ユミとコン・ユ主演の映画化も大いに楽しみだ。

文/ 新百合ヶ丘エルミロード店・YM
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