972『一鬼夜行』/小松エメル/ポプラ社 ピュアフル文庫/620円+税外部リンク 
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「俺は百鬼夜行に欠かせない……鬼だ!」

御一新から早五年――閻魔と称されるほどの強面で人嫌いな、古道具屋を営む青年・喜蔵の元に落ちて来たのは、百鬼夜行から落ちたと主張する鬼・小春だった。

小生意気な小春といやいや同居する羽目になった喜蔵だが、なぜか次々と妖怪沙汰に巻き込まれるようになり――?
と、あらすじを述べるならこんな風に、人間と人間の姿をした妖怪の少年とが妖怪沙汰を次々に解決していく、言うなれば妖怪専門世直しコンビ……のように見えるのですが。

そもそも、なぜ小春は百鬼夜行から落ちたのか。
喜蔵の周りで起こり始める妖怪沙汰の真相とは?
そして牛鍋屋の気になるあの子、看板娘の深雪が意味深に喜蔵と小春を見る訳とはいったい?


ドンとひとつ大きな事件が起こるわけではなく、日常の中で小春をはじめとした妖怪(いったんもめん・河童といったメジャーなものから、古道具に魂が宿った妖・付喪神まで多種多様だ)たちとの交流が中心となって描かれていきます。
一作目では掘り下げられなくても、シリーズを読み進んでいけば様々なキャラクターたちのバックグラウンドに心打たれること間違いなしです。


一鬼夜行という物語の大きな流れの中で、人と妖怪とが時に悩み、時に諦め、時に夢見て、相容れぬ互いの存在に、それでもと寄り添おうとする。
己は決して人ではないのに、妖怪の中でも浮いてしまっていると語る小春。
所詮人はひとりだと自嘲しながらも、どこか非情になり切れないでいる喜蔵。
そんな、はみ出し者の一人と一妖の織りなす怪奇譚――いえ、人情妖怪譚、どうぞご照覧あれ!

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