二十歳の原点『二十歳の原点』/高野悦子/新潮社 新潮文庫/520円+税外部リンク 
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学生時代に繰り返し読んだ一冊が、著者没後50年のこの夏、新潮文庫の100冊に復活した!

「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である。」

1969年、高野悦子の日記はこの潔い前書から始まる。

当時激しさを増していた学生運動に自らを駆り立てながら、自分に自信が持てずにひたすら本を読む悦子。お茶目で、自然や動物を愛し、強くて弱い、矛盾だらけの魅力的な彼女は、美しい容姿を嫌ってかけた伊達メガネの奥から、世の中に、自分自身に常に厳しい目を向け続ける。そうして次第に疲れ果て、救いを求めるかのようにすがりついた恋にも破れ絶望する。

この文庫本は、80年代にぼんやりと学生生活を送っていた私の心を、文字通り鷲掴みにした。体制や圧力に対する反抗心、滑稽なくらいの自意識、孤独感、恋愛に対する臆病さなどは、若者の悩みとして永遠の共通項なのだ。
だからこそ、時代を問わず令和の今もこの先も、この孤高な表現者の日記に、多くの人が自分を重ね合わせることだろう。

孤独と自己嫌悪に耐えかねて酒とタバコにおぼれる悦子。それが睡眠薬に取って代わった頃、澄み渡った静謐な詩で突如日記は終わりを告げる。あらかじめわかっていたはずなのに、私たちはその悲しい結末をよくよく思い知らされる。

この最期の美しい詩を、是非声に出して味わってほしい。
胸ふさがれる思いとともに、その完成度の高さに、何度読んでも心が震える。

文/ 新百合ヶ丘エルミロード店・YM

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