罪の声『罪の声』/塩田武士/講談社 講談社文庫/920円+税外部リンク 
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ある日、母親の部屋で見つけた1本のカセットテープ。
吹き込まれていたのは幼い頃の自分の声。それはかつて日本を震撼させたあの事件で使われたのと同じ声だった……

ある新聞記者の青年が年末企画で組まれた特集のために、31年前の未解決事件を追い始める。
昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」をモデルにしたこの小説は、「ギン萬事件」として、犯人だけでなくその家族の生きた31年、そして “未来” を追っていく。
そして理不尽にもその渦中へと巻き込まれてしまった子どもたちは……

読むにつれて、子どもの頃に見た幼いながらにも不気味さを感じた、あの似顔絵や連日の報道、大好きだったお菓子が店頭から消えたことなどが蘇ってきた。

少しずつ明らかになっていく真実に、フィクションであることを忘れ、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。
「ミステリーを読んだ」と充分に堪能できる一冊。

文/ ルミネ横浜店・T.K.
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