515『パレード』/吉田修一/幻冬舎 幻冬舎文庫/533円+税外部リンク 
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都内のあるマンションでルームシェアをする男女四人が織りなす物語。

章が進むにつれて、四人がなぜ同居するに至ったのかが明かされていき、単なる青春群像劇ではなく一種のミステリーとしても楽しめる。

特別にそういったルールを設けたわけではないけれど、皆、同居人の素性を深堀しない。
それゆえに四人のあたたかいようで冷め切った関係がうかがえ、読者の胸に迫る。
 

※終章のネタバレを含みます※


終章では最年長である男性が語り部となる。
いままで比較的温厚な人物として扱われていた彼が、実は猟奇的な性格の持ち主だったことが判明する。
しかし、他の三人は彼を咎めるでも、軽蔑するでもなく、ただただ笑って迎える。
こんなにも怖く、そしていびつなラストシーンを私は他に知らない。

したがって読後感は決して爽快とはいえないが、いつまでも湿った空気が胸に残るのはたしかである。
酷暑の夏だからこそ読んでおきたい小説だ。

文/ シャポー小岩店・YS


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