新宿鮫『新宿鮫 新装版/大沢在昌/光文社 光文社文庫/720円+税外部リンク 
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ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく――。
「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。

1990年にカッパノベルス、1997年には光文社文庫で発売された。
29年前の新宿が舞台の小説だが、この小説を読んで日本の「ハードボイルド小説・警察小説」の出発点ではなかったかと思われる。 
この小説の魅力とは……。

 
キャリア組とノンキャリア組の確執といった警察組織の構造的な問題点や、キャリア組でありながら出世コースから外れてしまったアウトサイダー鮫島の生き様等が描かれた警察小説であり、ハードボイルド小説。

鮫島はトリッキーな捜査をするわけでもなく、自分流で犯人を追いつめていく。
いつしか不意に襲い掛かってくる一匹狼の刑事として恐れられ、「新宿鮫」の渾名がついた鮫島。
登場人物の造形に長けており、会話もイキイキしているが、この小説全体の空気を壊すものではない……。
今よりも危険な街であった「歌舞伎町」を舞台に、当時の人の息遣いや町全体の空気を「鮫島」という孤高の警察官を通して文章の中から感じる事ができる。
いま読んでも時代遅れ・古臭く見えないのは著者 大沢在昌の文章力がなせる業だと実感する。

今多くの警察小説・ハードボイルド小説が刊行されるが、この作品にかなり影響されて執筆した著者もいるのではないだろうか。

この小説を30代に書いた大沢在昌の力量が光る作品である。
現在文庫版で長編10巻、短編集が1巻でている。どこから読んでも『新宿鮫』に会う事ができる……。

文/ アトレ目黒店・R

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