『某』/川上弘美/幻冬舎/1,600円+税
「某(ぼう)」とは「何でもないもの」。
何でもないので、そのままでは人間社会で暮らしていけない。
ゆえに擬態する。
「某(ぼう)」とは「何でもないもの」。
何でもないので、そのままでは人間社会で暮らしていけない。
ゆえに擬態する。
あるときは女子高生、あるときは男性事務員、あるときはカナダの語学教師……。
どんなものに擬態するか決められる個体もあれば、突然変化する個体もいるらしい。
主人公の「某」は、はじめ名前も記憶も持たない。
「丹羽ハルカ、16歳」にとりあえず擬態する。
とりあえず16歳だけど人間社会ははじめてだ。
手探りで社会とかかわりながら、「某」は成長・発達していく。
「何でもないもの」という設定だけど誰にでも起こりうる悩みやとまどい、葛藤が描かれている。
普通の人間の平凡な人生だって、ひとつ所に留まってはいられない。
守られて育つゆりかごから嵐のような反抗期、初めて恋したときの世界の輝き。
不思議なものを不思議なまま描く川上弘美さんの小説が好きだ。
でも不思議なものに仮託して普遍を描いているのかもしれない。
ほら、あなたもわたしも某かもしれない。
文/横浜駅西口ジョイナス店・MT
どんなものに擬態するか決められる個体もあれば、突然変化する個体もいるらしい。
主人公の「某」は、はじめ名前も記憶も持たない。
「丹羽ハルカ、16歳」にとりあえず擬態する。
とりあえず16歳だけど人間社会ははじめてだ。
手探りで社会とかかわりながら、「某」は成長・発達していく。
「何でもないもの」という設定だけど誰にでも起こりうる悩みやとまどい、葛藤が描かれている。
普通の人間の平凡な人生だって、ひとつ所に留まってはいられない。
守られて育つゆりかごから嵐のような反抗期、初めて恋したときの世界の輝き。
不思議なものを不思議なまま描く川上弘美さんの小説が好きだ。
でも不思議なものに仮託して普遍を描いているのかもしれない。
ほら、あなたもわたしも某かもしれない。
文/横浜駅西口ジョイナス店・MT