715『ロボット・イン・ザ・スクール』/デボラ・インストール:著 松原葉子:訳/小学館 小学館文庫/820円+税外部リンク 
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第一作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』から三年。

幼子のようなロボット、タングが帰ってきた。
すこし成長して、だけど理屈っぽさはそのままに。
そして今回の冒険は、学校!


2作目『ロボット・イン・ザ・ハウス』で1歳だったボニーは、4歳に成長してプレスクールに通う日々。
そんな彼女の初めての挑戦を目の当たりにするタングは自分も学校に行きたいと主張する。
そしてロボットと人間の女の子の両親、ベンとエイミーは「ふたりとも学校に通わせる」決心をする。


ベンは変わらず内省的で、書籍のカバー帯にはまだ「ダメ男」と書かれてしまっているけれど、元妻(だけど同居)と頑固な娘とロボット2体との関わりから、相手の世界を理解しようとする、心を開いた人へと成長している。

彼の語りで綴られる物語はやわらかく、ひたすら楽観的(考え無しともいう)で前向きな者、実はそんなに関わる必要のない他者(いわゆる “お友達”)を受け入れることを苦痛とする者、自分の居場所に安心できなくて周囲を見返すことを目的(だけどそれ故に社会的成功を成す)としていた者を包み込む。


そして2作目から登場したロボット・ジャスミン。
女性性を包含し、『ジェーン・エア』を愛読して、愛の概念を問い、機械学習の機能と本物の意識を持つ唯一無二のロボット(しかも宙に浮く)が人とロボットの家族に嵐を巻き起こす。

生命と機械との差異について、それらが共に在る意味、人として自分にできること、自分にはできないこと、そしてできないことを認知し合うこと、できないと思われたことを克服すること。

登場する者の概ねが不完全でありながら、ここには夢のように美しい物語が紡がれている。
だからいつかの未来、機械学習をするロボットが私の前に現れたとき、この物語を検索させてみたいと思う。


文/ アトレ目黒店・RM

\ 1作目 /

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』
小学館文庫/850円+税
HonyaClub詳細 在庫検索
\ 2作目/

『ロボット・イン・ザ・ハウス』
小学館文庫/820円+税
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