『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』/大木毅/岩波書店 岩波新書/860円+税
言わずと知れた2020新書大賞第1位。
第二次大戦中最も酸鼻を極めた独ソ戦を俯瞰したノンフィクション作品です。
日本で史書定本とされていたパウル・カレルの著作が本国ドイツでは入手できないとされているとは、初耳愕然であります。
『焦土戦』『バルバロッサ作戦』『彼らは来た』等のミリタリーファンのバイブルが悉くバッサリ。
軍事史的な記述を基に、独ソ両国をあらゆる角度からその虚像を記した作品です。
戦争とは、いつの世も凄惨なものですが、その内容だからこそ
人類史上最悪の戦争について、正面からしっかりと受け止めることこそ
21世紀の平和を築く礎となるだろう、と感じます。
一部に戦史、軍事史の専門書が新書大賞?との声もあるようですが、実は、若い人に人気のアニメ化もされたラノベ『幼女戦記』の参考となっていたり、最近人気のボードゲームの元ネタだったり、ビジネス戦略論、組織論、近代史などいろんな面での広い客層の後押しが今回の受賞に繋がったのだ、と納得の1冊でした。
ぜひ一読をお薦めいたします。
文/ アトレ大井町店・N・Y