576『こんぱるいろ、彼方』/椰月美智子/小学館/1,500円+税外部リンク 
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椰月美智子の家族小説は裏切らない。じーんと心に響いて泣ける。お話は、スーパーで働く真依子の日常からスタート。

中3の賢人は受験生。塾に行かせたり、ママ友付き合いもあったりと気を遣うお年頃。
二十歳の奈月は大学生。スペイン料理店でアルバイトをしている。

その奈月が夏休みに海外へ行くと言うのを聞き頭の中が一瞬パニックになる真依子。帰宅した夫に相談しようとするが「ご自由に」と言われてしまう。
真依子はベトナム人だったのだ。5歳で難民として日本にやって来た、ボートピープル。ファン・レ・マイ。22歳で帰化し、青海真依子になった。
青い海を渡ってベトナムから日本に来たからだ。

結婚して野田真依子になってからは、今の自分は野田真依子以外の何者でもないと思っている。ベトナムにいた頃のことは、まったくといっていいほど記憶がない。自分の出自が知れて子どもたちがイジメにあうようなことがあったら後悔しきれない。
だから真依子はなんとしても子どもたちには絶対隠しておきたかったのだ。

しかし、奈月の海外旅行がベトナムになり真依子は奈月に話そうと決めた。
ここから、いろんな事が大きく動いていく。奈月の行動力が周りをも変えていく。

物語は真依子、奈月と真依子の母、春恵の名前で9章に分かれている。それぞれの思い、人生。読後にはきっと、読者ごとの「こんぱるいろ」が目の前に広がる。

文/ テラスモール湘南店・Ne
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