729『病魔という悪の物語 チフスのメアリー/金森修/筑摩書房 ちくまプリマー新書/760円+税外部リンク 
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今から100年ほど前のアメリカに、アイルランドからアメリカに移住し賄い婦をやって生活していたメアリー・マローンという女性がいた。

働き者で雇い主の評判も良く本人はいたって健康であったが、死に至ることもある感染症が彼女の勤め先で次々と発生し、保菌者の彼女が料理を介して無自覚に病原菌を振り撒き感染を拡大させたとされ、有名になった。
今日で言う無症状患者、スーパースプレッダーというわけだ。

突如身に覚えのない疑いをかけられた彼女は検査を拒否したが、身柄を拘束され感染者として病院に強制的に収容、隔離された島で3年を過ごす。
一時は料理をする職業にはつかないとの誓約書のもとに解放されたものの誓いを破って元の職業に舞い戻り、勤め先から感染者が出たことにより再び逮捕され、その後死ぬまでの23年間を社会から隔離されて過ごしたという。
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