過去の「本の泉」

『成瀬は天下を取りにいく』天下を取るまで見守り続けたいので、続編を切に希望している

951『成瀬は天下を取りにいく』/宮島未奈/新潮社/1,705円(税込)外部リンク 
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こんな子と友だちになりたい。
成瀬と同年代だったら、そう思えたかどうかは正直、微妙なところだ。多分、理解できなかったと思う。

ただ、憧れたとは思う。
それくらい、彼女のやることなすことが痛快で、思ったことをすぐ実行に移すバイタリティは称賛に値する。
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『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』これまでの人生で最も「ためになった」メイク本

241『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』/
吉川景都・BAパンダ/ダイヤモンド社/1,485円(税込)
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常々、雑誌のメイク特集は参考にならないと思っていた。
なぜなら、プロのメイク師が、デパコスで、高度な技を使い(おまけにいえば元々美しいモデルに)メイクしているからだ。

そう、メイクは低LVとぶち抜き高LVの差が、途方もなく大きい。
そして案の定、低LVを彷徨っていた自分が出会ったこの本は、これまでの人生で最も「ためになった」メイク本であります。
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『種をあやす』全国どこでも同じものを食べているのは実は不思議なこと

763『種をあやす』/岩﨑政利/亜紀書房/1,870円(税込)外部リンク 
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スーパーにならぶ野菜。
春は春キャベツや山菜がならび、夏はナスやきゅうりの値段がさがって旬を感じることができます。
そろったかたちで傷がほとんどない野菜を日々手にしているけれど、でもその姿はごくごく一部で、農家さんのたゆまない努力に支えられている。

さらに、私たちが普段目にする野菜は生産されている野菜のごく一部でしかない。
在来種というその土地でしか育てられていない種が数多く存在する。
そんな当たり前の事実を私は知らなかった。
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『青い城』空想も現実も、想像の羽を羽ばたかせて豊かに感じるモンゴメリの世界

909『青い城』/モンゴメリ/KADOKAWA/902円(税込)外部リンク 
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『赤毛のアン』全11巻を読んだことは私にとって本当に大きなことだったんだと『青い城』を読んであらためて思った。
同じ出来事でも自分の心ひとつで受け止め方を変えられる。
なんて素敵、と受け止めるアンの激しい喜びの表現は私の心を明るくしてくれた。

おおげさなことはちっとも恥ずかしいことではなくて、人生をわくわく生きるコツ。子ども向けとは思えない辛辣さ、風刺もすばらしく刺激的なのがたぶんモンゴメリの特徴。
純粋さとウィット、賢い皮肉は両立する。毎日の楽しみ方を教わった。
考えてみれば、わくわくするとき、アンのように、島に吹き渡る優しい風を胸いっぱいに吸い込むような気持ちになっていると思う。
鼻をつんとすまして少し得意げな気持ち。
私の中の少女のモデル。
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『人形の家』物語の芯がいつまでも古びない名作

601『人形の家』/イプセン/新潮社/473円(税込)外部リンク 
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ノラもまた考えた。
廊下へ出てうしろの扉をばたんとしめたときに考えた。
帰ろうかしら。・・・・太宰治『葉』

20代前半に読み、わけもわからぬまま美しい文章としてずっと心に残っていたものが
20年近い時を経て、ああ、と腑に落ちた。

ノラの物語は、当時新しい女性像として世界中の作家にも影響を与えたのだと思う。
めくるめくように進む戯曲の中で、自身は自身で教育しなければならない、人形のままでは生きられないと気づくノラの決意は、すがすがしさを通り越して胸に痛い。
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『柚木沙弥郎のことば』奢らぬ柔らかな心で柚木さんが成し遂げたこと、優しい言葉が胸に沁みる

461『柚木沙弥郎のことば』/柚木沙弥郎・熱田千鶴/グラフィック社/2,200円(税込)外部リンク 
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『詩の玉手箱』という本が手元にある。
もう20年近く前、たしか神保町の古書まつりを訪れた記念に何か一冊欲しくて手に入れたのだと思う。
中表紙と挿絵の淡いようでくっきりとした画が気に入ったからで、それ以外の理由はなかった。

柚木沙弥郎さんの名前はその時から今までずっと本棚の目に入る場所にあったのに今回初めてどんな方なのかを知った。
年を経て子どもにかえるかのようにわがままに頑なになる人がいる一方で、心が柔らかいまま「我がまま」に凛としている人もある。
そこにあるのは自身を充実させ生きた誇り、自信だろうか。
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『桃を煮るひと』暮らしにすーっと馴染んでいくようなエッセイ集

488『桃を煮るひと』/くどうれいん/ミシマ社/1,760円(税込)外部リンク 
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くどうれいんさんの食エッセイを読んでいると、何時間もお茶をしながら、「そういえばさあ」なんて何気なく友達とおしゃべりしている感覚になる。

美食ではなく、生活の中の食について書かれていて、無性にカリカリ梅が食べたくなる衝動や祖母の家の畑でとれる野菜の記憶、なぜか桃を煮ていると、家族や同居人が「桃を煮ていますね」と声をかけてくること。
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