過去の「本の泉」

『小僧の神様 他十篇』教科書でも読んでいるし、知っているはずの志賀直哉の文章の美しさに感動した。

462『小僧の神様 他十篇』/志賀直哉/岩波書店/704円(税込)外部リンク 
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先日、夏葉社『近代日本の文学史』を読み終わって、私の読書の歴史が塗り替わるようだった。教科書に出てきたような作家たちも、時代のうねりの中で躍動していて、あらためて名著が読みたくなった。中でも、文学史に何度も登場し、多くの人に慕われ、影響を与えた志賀直哉が気になってしかたなく、この本を手に取った。

教科書でも読んでいるし、知っているはずの志賀直哉の文章の美しさに感動した。
志賀直哉の小説はあまりにきれいで端的で澄んでいるから、時代背景が違う今でもすんなり入ってくる。文学史を知る前ではそのせいで、つまらないと思ったかもしれない。でも今は、それが当時どれほど新しいことだったかが分かる。

志賀直哉は小説が芸術であると分かっていたはじめの人の一人なんじゃないかと思う。技巧的でなく、クセがなく、写実的なのに、志賀直哉の文章だとひと目でわかる味がある。芸術家としてのものの見方に秘密がある、そんな気がした。
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『ちひろさん 1』強くて弱そうでやっぱり強い、まっすぐでやさしいちひろさん。

877『ちひろさん 1』/安田弘之/秋田書店/748円(税込)外部リンク 
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孤独は人を強くも弱くもする。
孤独でないことは人を心強くするけど、孤独を求める心はさみしいけど自由だ。
孤独のないところに幸せもない気がする。

先日、『ちひろさん』の映画を観て、孤独にめぐる様々について、頭がぐるぐるした。
ちひろさん役の有村架純さんが素敵すぎて、映画を気に入りすぎて、コミックも購入。
やさしい雰囲気の映画よりコミックの方がいくぶんパンチが効いているみたい。
嘘のない自分で、人と相対し続けるためにも、孤独は必要なのかもしれない。
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『世界の台所探検』モロヘイヤがアラビア語だなんて知らなかった!

820『世界の台所探検』/岡根谷美里/青幻舎/2,200円(税込)外部リンク 
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1989年生まれ、岡根谷美里さん。身長は150cmもなくてとても童顔でよく笑う。
世界中の台所に潜り込み、家族の一員のように溶け込んでしまう。こんな人がいるなんて知らなかった!

私が世界を旅するとしても、きっとただ街を歩き、景色や匂いを味わうと思う。
こんな風には人とふれ合えない。それだけでもう、尊敬してしまう。
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『雨、あめ』言葉のない絵本。それなのになんて饒舌な絵本!

253『雨、あめ』/ピーター・スピアー/評論社/1,540円(税込)外部リンク 
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江國香織さんが以前からたびたび紹介していて、ずっと気になっていた絵本。
またとあるところで紹介しているのを発見してついに購入。
『雨、あめ』は言葉のない絵本。それなのになんて饒舌な絵本!

雨の勢いも、こどもたちの興奮も、あたたかい湿気も、本の中におさまりきれず、私の脳内に響いてくる。雨の冷たさ、遊ぶ2人の体温を感じる。
とりわけ楽しい雨の日の「匂い」が充満する。
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『マザーツリー 森に隠された知性をめぐる冒険』依然から不思議だった森や木々にまつわる事々のすべてがここにあった!

700『マザーツリー 森に隠された知性をめぐる冒険』/スザンヌ・シマ―ド/ダイヤモンド社/2,420円(税込)外部リンク 
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500ページを超えるがっしりした風情に少し尻込みしたけれど、それを上回る魅力に抗えず購入。
植物がなぜ水だけで育つのか、腐葉土の香りになぜわくわくするのか、山に登るとなぜ安心するのか、依然から不思議だった森や木々にまつわる事々のすべてがここにあった!

自然は人間と同じようにシナプスとノードを持ち、土の中のものと繋がっている。そして木、植物同士も。
その秘密のもとである「菌根菌」がどんなに美しいかを語るスザンヌはもはや森の人。
人間界での彼女の生涯についても、タペストリーのように森の話に織り込まれていく。
なんて素敵な本、読めてよかった!
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『リメンバリングオキナワ』戦後の沖縄の風景をとらえた写真に、同じアングルから撮った現代の写真を並べる

251『リメンバリングオキナワ』/岡本尚文 當間早志/トゥーヴァージンズ/1,980円(税込) 
外部リンク

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自宅の近所に釣り具を売っている店があった。
数十年前のことで、今はもうない。
時折それが本当にあったのか、という気持ちになるが、確かめようがない。記憶の中だけの店だ。

戦後の沖縄の風景をとらえた写真に、同じアングルから撮った現代の写真を並べるこの本は、過去と現代の対比が見どころ。
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『ものがたりの家』子どもの頃の夢想を思い起こすような家がある

358『ものがたりの家』/吉田誠治/パイインターナショナル/2,420円(税込)外部リンク 
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この本には架空のものがたり上の架空の人物(妖精含む)が住まう家が、リアリティをもって描かれている。

絵を見ながら、パラパラと拾い読みをするだけでも楽しいし、気に入ったものがたり設定や登場人物のストーリーに思いをはせるのも良い。
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