

第3回日経小説大賞受賞の傑作歴史ロマン。
ここからイメージする硬派な内容と、タイトル、表紙から受ける印象のギャップに興味を覚えて読み始めた。
可憐な花の凜とした面影、ヴァイオリンの優雅な旋律が、時代や帰属集団から逃れられない人間の宿命を鮮烈に彩る。
一面に咲き誇る真っ白き野いばらのとげに傷つきながら、その広大な群生の中に二人して身を隠すとき、濃密な薫りは匂い立ち、確かに真っ赤な血の色が見えた気がする。
読後感は切なく、懐かしく、清々しく、時間と空間を超えて旅するような幸福な体験。
まさに読書の醍醐味を味わい、思わず背筋が伸びるような端正な文章に心地よく酔った。
「本当の主人公はすべてを運び去る時間なのです。」とは著者がインタビューで述べた言葉。
お薦めの読書スタイルは和服で文机に正座。夜、手元の灯りのもとで。
文/スタッフ部門・YN
一面に咲き誇る真っ白き野いばらのとげに傷つきながら、その広大な群生の中に二人して身を隠すとき、濃密な薫りは匂い立ち、確かに真っ赤な血の色が見えた気がする。
読後感は切なく、懐かしく、清々しく、時間と空間を超えて旅するような幸福な体験。
まさに読書の醍醐味を味わい、思わず背筋が伸びるような端正な文章に心地よく酔った。
「本当の主人公はすべてを運び去る時間なのです。」とは著者がインタビューで述べた言葉。
お薦めの読書スタイルは和服で文机に正座。夜、手元の灯りのもとで。
文/スタッフ部門・YN
