992『さよならドビュッシー』/中山七里/宝島社文庫/590円(5%税込)詳細

クラッシック音楽に興味なし、スポーツ観戦もあまり好きではない自分ですが、このミステリー面白かった!
七里さんのミステリーは、どこか残酷でドキドキするのですが、人物描写が巧みで読みやすく、ついついはまります。そして、いつもどんでん返しが待ち受けているのです。
この作品、『さよならドビュッシー』は、音楽小説 プラス スポーツ根性物語、そしてミステリーの部分が、うまくハイブリッドしていて、まさに掛け値なしの面白さ。

資産家を祖父に持つ16歳の少女。家族がみな外出したある夜、祖父が暮らす離れで仲のいい従姉妹と留守番をしていたところ屋敷が火災に見舞われます。祖父と従姉妹は、焼死。“あたし”は、全身大火傷を負います。そして、ここから試練が始まるのです。

全身大火傷を負い、高度な皮膚移植手術で死の淵からは生還したものの、プロのピアニストを目指し音楽学校に通おうとしていた“あたし”の指は、皮膚が引きつって元のように満足には動かない。
そこに、イケメンの岬洋介という天才ピアニストが、リハビリの指導を買って出ます。逆境をはねのけて、ピアノに向かう姿はまさにど真ん中ストレートの青春音楽根性物語。壮絶なリハビリとの戦いが始まります。
“あたし”は、全身包帯で松葉杖をつきながら、学校に行けば、資産家の孫娘ということ、またその類まれなる才能のために、周りから嫉妬され疎まれます。世界は、悪意に満ちている。そうかもしれない、そう思わざるを得ないような雰囲気の中、学校代表としてコンクールに出場が決まります。そして、起こる殺人事件。
そして、最後には、どんでん返しが……

中山七里さんの他の作品もオススメです。『連続殺人鬼 カエル男』、『贖罪の奏鳴曲』も、とても面白いです。今、大注目のミステリー作家の作品をぜひお楽しみください。

文/ 厚木店・AS

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