615『終わらない歌』/宮下奈都/実業之日本社/1,365円(5%税込)詳細

先日、後輩の同僚と雑談をしていたら、その子が急に「『 よろこびの歌 』って、いいですよね。初めて宮下さんの作品を読んだのですが、母と一緒に感動して読みました。」と言い出した。
そう、『よろこびの歌』は、『終わらない歌』の前作で、高校生の女の子が合唱を通して心を通い合わせ、成長していくお話です。どこにでもいそうな女の子達が日々のささいな事に想いを巡らせ、未来へそれぞれの夢を見つめながら、目の前の仲間に、歌に、そして自分達の変化に何かをつかんでいく、そんなお話でした。
あれから3年、高校を卒業して二十歳になった彼女達の目に映るものは。。
夢が現実に少しつづ呑まれていってしまった二十歳の頃。高校を卒業したら、とてつもなく、広々とした殺風景な未来が待っていたあの頃。夢なんていつのまにか引き出しの奥の隅の方へしまいこんでしまったかのように、毎日を追いかけるのが、不器用なくらい不安だったあの時の自分。そうだ、そうだ、こういう時が自分にもあったんだ。

それぞれの女の子達のそれぞれの未来を宮下奈都さんは、優しく描いています。そこには、思い描いていたような順調なばら色の未来はないかもしれない。けれど、みんなが星なのです。ひとり残らず幸せに輝く星。
同僚も、「明日も仕事だから、読むのやめようかと思ったのですが、一気に読んでしまいました。さらにいいですね。これ。」と言っていました。

もし、自分が高校生だった頃、大学生だった頃、そう社会人になった頃にこの本と出会えていたら、きっと素敵だったろうなと思います。もちろん、今、読んでも素敵だから、たくさんの方に読んでいただきたいです。
『終わらない歌』を読もう。明日にはきっと笑えるために。

文/ 厚木店・AS

 

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