『さんさん録』/こうの史代/双葉社/680円(5%税込)
妻に突然先立たれ、息子夫婦と暮らすことになった参平が見つけた1冊のノート。
それは妻が残した生活のレシピと家族の記録だった。
好きなお菓子を買えと言うと、とろろ昆布を選ぶようなちょっとおかしな孫と、子どもの頃仕事ばかりして遊んでくれなかった父を少し許せない息子、やさしくて、のんびりしてて、でも実は気の強い息子の嫁。そして参平がもどかしい恋心を抱く女性。
豆知識マンガの体裁もとりながら、家族が織りなすささやかな日常を笑いで彩りながら愛を描く。
参平はきっとバリバリ仕事をしていた頃より、今のほうがかっこいい。
それはたぶんきちんと人と向き合う事ができるようになったから。
そして「生きている自分」に向き合おうとしているから。
わたしもこんな素敵に洒落た「ジジイ」になれるだろうか。
文/ トレッサ横浜店・YS
