教場『教場』/長岡弘樹/小学館/1,575円(5%税込)
“教場”って、何?と思っていたら、どうやら警察学校で、“クラス”のことをそう呼ぶのだそうです。警察学校は、もちろん将来、警察官になろうとしている人が入校する場所です。しかし、誰しもがそこから卒業し、晴れて警察官になれるわけではなく、挫折し、蹴落とされ、去っていく人もいるのです。
この小説は、その“教場”が舞台です。必要な人材を育てるために不要な人材を切り捨てていく“篩”、それが、“教場”です。学生達の小競り合いと、全てを見通しているかのように立ちはだかる謎の教官、風間。かっこいいのですよ、これがまた。義眼の向こうのとてつもない知性に、うわあと思いながら、正義を守る警察官の卵達が、風間の準備した修羅場に翻弄されていく姿を、心地よい緊張感とともに読めるのです。
ああっ、言ってみたい。風間のように「君には、ここを辞めてもらう。」と。こういうドラマチックな展開には、ついつい酔いしれてしまいます。警察学校の学生達は、篩にかけられ、優れた人材だけが将来を手にすることができるのです。常に危険を伴う警察官という仕事に就くには、いろいろなことを潜り抜け、度胸のある強い人間にならなくてはいけないのです。それにしても、“教場”というのは、閉鎖的で、しかも、かなり精神的に過酷な空間なのだなあと思いました。

6編のどれもこれもが、秀逸、仕掛けも着眼点も全てが新鮮であり、度肝を抜きます。そして、何度読み返しても、なるほど!と思う仕掛けになっています。40万部を突破したベストセラーの『傍聞き』では、ミステリとはいえ、人の優しさを追いかけた短編集に仕上がっていましたが、5年ぶりの新作『教場』は、人の心理を突いた頭脳戦であり、人間ドラマであり、上質なエンタメ警察小説でもあり、ともかく面白い! 小さな描写が大きな真相に変化していく様は、まさに“一行も読み逃すな”です。 と、普段からぼおっとしている自分は、えっ?えっ?と思いながら、5回くらい読み返してしまいました。

今、一番注目されているミステリ作家の満を期しての自信作。
2013年、これだけは読み逃さないで欲しいです!

文/ 厚木店・AS
・2021/3/31以前の記事……税別の商品価格
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