253『宇宙探査機』/フィリップ・セゲラ/飛鳥新社/4,200円(5%税込)詳細
本書で書かれているのは、無人の宇宙探査機のことだけです。おなじみのスペースシャトルやアポロ計画、国際宇宙ステーションのことは取り上げられていません。また、地球の周りを低軌道で飛ぶ人工衛星についても記されていません。ちょっと変わった(マニアックな)惑星探査の紹介です。
著者のフィリップ・ゼゲラ氏は1959年パリ生まれ、神経学のお医者さんです。ただ30年前から宇宙探査とそれに関わる科学発見を熱心に追う観察者となります。その熱意が結晶となり、ユニークなこの書が生まれたのです。フランス語版、英語版を経て、今回日本語版の登場となりました。
この本は、400ページの大判サイズ。最大の特徴は、大きな写真(惑星や探査機など)がたくさん載っていることです。これらの写真は、様々な宇宙探査機が長い時間をかけ到達した惑星・衛星・彗星、宇宙の姿です。写真を見ると思います「美しい」。そして同時に、私たちが地球に存在する奇跡を考えずにいられなくなります。

この本が今までの宇宙写真本と違うのは、写真などのデータを地球の送った「宇宙探査機」と「作った人間」をきちんと紹介しているからです。言い換えれば、人間の未知への探究心とそれを達成するための科学技術が「未来への架け橋」として感じられるのです。

最後に、著者の言葉を引用させていただきます。
「大人の方はさっと読んでいただいてよいと思います。(中略)学校では、生徒さんが自然に手にとって見ていただけるところに置いていただければと思います。何となくでも写真を見て楽しむことができればよいのです。(中略)お子さん方は、たとえ詳しい意味をご存知なくても、読めなくても、写真や図版を、時間のたつのも忘れて眺めるかもしれない。それはきっと、その子に大きな夢を育むに違いないのです。」(序文より)

ルナ1号から、はやぶさ2(2014年ミッション)までの50年間を綴った『宇宙探査機』、お薦めします。

文/本の泉スタッフ
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