『その日のまえに』/重松清/文春文庫/610円(5%税込)「その日」というには足音も立てずにやってくるものなのだと、実際に迎えてみてはじめて知った。「その日」を境にして、昨日までの景色と、そして今日からの景色は確かに違って見えるのに、周囲の人々が何事もなかったかのように歩みを進めていくことにひどく腹が立った。許せなかった。その残酷さが悲しかった。
ひとひとり死んでも、世界は何も変わらないのかと叫びだしたいくらいに。あなたには家族を亡くした経験があるだろうか、家族を看取った経験があるだろうか。あまり何度も体験したいことではない。ないほうがむしろ望ましいかもしれない。しかしいつか必ず人は死ぬ。それだけは決して揺らがない。一度でよいから、いつか訪れる大切な人の死について考えてみて欲しいと思う。死を意識することで、死にゆく人のために何かできることがあったのではないだろうかと、私はずっと後悔している。
本作は「家族の死」をテーマに綴られる短編集である。「その日」を迎えたばかりの私が胸の内を共感できる場所を探してたどり着いたのがこの一冊だった。
だからこそ、大切な人の死に悲しんでいる人に読んでもらいたい。死を意識したことのない人にも読んでもらいたい。悲しい題材ではあるけれど、読後に見渡す景色は少しだけやさしく、いとおしく感じられる。そんな一冊だ。
文/
テラスモール湘南店・MT
本作は「家族の死」をテーマに綴られる短編集である。「その日」を迎えたばかりの私が胸の内を共感できる場所を探してたどり着いたのがこの一冊だった。
だからこそ、大切な人の死に悲しんでいる人に読んでもらいたい。死を意識したことのない人にも読んでもらいたい。悲しい題材ではあるけれど、読後に見渡す景色は少しだけやさしく、いとおしく感じられる。そんな一冊だ。
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