第151回直木賞候補の6作を、受賞予想の鼎談形式でご紹介!
※ この鼎談はフィクションであり、実在する人物・小説上の人物とは関係ありません。


120-120■悠木 さあ、いよいよ直木賞の季節がやってきました!
■野口 今回も私たちは、本命・対抗・大穴と予想しなくてはならない辛い立場にいます。
■平尾 もうそのセリフも恒例行事になってきたな。
■悠木 今回は時代小説が候補になっていませんね。
■野口 我らが伊東潤さんが候補になっていません!
■平尾 それも大事件だが原田マハも入ってないぞ!
■野口 ああ! あの、平尾さんが新刊案内を見た瞬間に「次の直木賞だ!」と騒いでいた『太陽の棘』ですね。
■平尾 ううむ。今回オレはあまり発言しないでおこう。
■野口 そんなこと言わないでください!
■平尾 だって予想できないんだもん!
■悠木 まあまあ、我々の使命は少しでもお客様に興味を持っていただくことなんですから。
■野口 それでは、早速予想してまいりましょう!

候補作を6冊すべてご紹介しています!続きはこちら
↓↓↓
  



鼎 談 参 加 者
平尾才助 (55歳) --- 書店員歴33年
悠木和雅 (44歳) --- 書店員歴15年
野口魚子 (33歳) --- 書店員歴 6年



本命『破門』黒川博行 『破門』

文藝春秋/1,700円+税

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■悠木
黒川博之は6回目の候補ですね。
■野口
なんと! まだ受賞してなかったんですね。
■平尾
6回目っていうのは受賞しそうな数字だよな。
■悠木
現選考委員の宮部みゆき先生も東野圭吾先生も6度目の候補で受賞していますね。
■平尾
よし! 今回はこれで決まり! 次いこ。
■野口
いやいや、もうちょっと語りましょうよ。
■悠木
今回候補になっている『破門』は、「疫病神シリーズ」という人気シリーズの第5作目です。
■野口
ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮のコンビが主人公のシリーズですね。スピーディな展開とセリフの掛け合いに定評があります。
■悠木
平成9年にシリーズ処女作『疫病神』外部リンクが第117回の候補になっていますね。
■平尾
17年前か。感慨深いものがあるな。
■野口
私まだ生まれてません。
■平尾
嘘つけ!
■野口
えへへ。
■平尾
シリーズ2作目の『国境』外部リンクも候補になったよな。あれで受賞しなかったのは驚いたぞ。すごく面白かったからな。
■野口
はい。平成13年、第126回の時ですね。
■悠木
『国境』は受賞は逃したものの、選考委員の中には強く推していた先生もいらっしゃって、その中の北方先生と宮城谷先生は今回の選考委員でもあります。相当な追い風になるのではないでしょうか。
■野口
はい! 宮城谷先生は69歳、北方謙三先生は66歳と、今回の選考委員の中では年齢の上でツートップなんです! 発言力があるのではないでしょうか。
■平尾
年上の人間の言うことは尊重しないとな。



対抗『満願』米澤穂信 『満願』

新潮社/1,600円+税

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■悠木
米澤穂信は初の候補です。
■野口
意外ですね。
■平尾
ライトノベルの作家ってイメージが強いけど、実力のあるミステリー作家だよな。この『満願』でさらに一段高いステージに上がった感がある。
■野口
実は今回の候補作で一番面白いと思ったのがこの作品です。
■悠木
短編集ですが、どの短編もレベルが高いですよね。
■野口
私は「柘榴」という短編が特にいいと思いました!
■平尾
でもよお、今年すでにこの作品で山本周五郎賞獲ってるよな?
■悠木
はい。ただ、同じ作品で山周賞と直木賞を受賞した作家は過去にもいます。2003年、『邂逅の森』で受賞した熊谷達也がそうですね。
■平尾
そうか、そうしたらひょっとするかもしれないな。
■悠木
はい。たとえ今回受賞しなくても、年末のミステリーランキングで上位にくる作品でしょうから、お客様には今のうちから是非お読みいただきたいと思います。



大穴『本屋さんのダイアナ』柚木麻子 『本屋さんのダイアナ』

新潮社/1,300円+税

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■悠木
柚木麻子は2回目の候補です。前回、『伊藤くんAtoE』で候補になっています。
■平尾
『本屋さんのダイアナ』か。タイトルがいいよな。
■野口
はい。それに、主人公が勤める書店の名前が「隣々堂」なんですよ! 有隣堂に似てませんか?!
■平尾
弊社を意識してくださってたら嬉しいな。
■悠木
大穴(ダイアナ)と親に名付けられ、髪を金色に染められた主人公が、同級生の彩子の存在によって人生に光を見出していく、という内容です。
■野口
いま巷で人気の「赤毛のアン」へのオマージュとなっています。乙女ごころをくすぐりますね。
■平尾
今回の大穴予想は簡単だったな。
■野口
どうしてですか?
■平尾
だって主人公の名前が「大穴」だったら、もうこれしかないだろ。
■悠木・野口
………。



『ミッドナイト・バス』伊吹有喜 『ミッドナイト・バス』

文藝春秋/1,800円+税

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■悠木
伊吹有喜は初の候補ですね。
■野口
やった!嬉しい!
■平尾
デビュー作から応援してたもんな。
■野口
はい。この『ミッドナイト・バス』もすごくいい作品です。
■悠木
東京での仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている男性が主人公です。彼を中心に、家族の再生が描かれています。
■平尾
なんか、今回の候補の中で一番地に足の着いた小説だったな。
■野口
はい。心が洗われすぎて、あんまり面白いことが言えませんね。
■平尾
深夜バス業界についてもけっこう詳しく書かれてるんだよな。深夜バス好きにはたまらないな。
■悠木
なかなかニッチなところを突いている作品ですね。



『男ともだち』千早茜 『男ともだち』

文藝春秋/1,550円+税

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■悠木
千早茜は2回目の候補です。柚木麻子と同じく、前回も候補になっています。前回候補になっていたのは『あとかた』ですね。
■平尾
ノリにのってる作家2人だな。
■悠木
主人公は29歳のイラストレーターの茜です。同棲している彼氏も医者の愛人もいるし、仕事も順調なのに何か物足りない。そんな時に学生時代の男ともだち「ハセオ」から連絡がくる、という内容です。
■野口
いいですね~。私も男ともだちが欲しい!と切に思いました。
■平尾
オレには理解できない世界だったな。
■悠木
そこなんですよ。果たして60代男性の選考委員の先生方にこの感覚をご理解いただけるかという…。
■平尾
無理だろ。ヒロインが二股かけてる時点ですでにダメ。
■野口
平尾さん、意外に古風なんですね。
■悠木
私は、「自己と他者」という哲学的な問題をはらんでいる作品だと思いましたが。
■野口
読み手によってツボが異なる作品なんだと思います。読み終わった後、誰かと語り合ってみるのもいいかもしれませんね。



『私に似た人』貫井徳郎 『私に似た人』

朝日新聞出版/1,800円+税

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■悠木
貫井徳郎は4回目の候補です。
■平尾
おいおい、本命か対抗にしなくていいのか?
■野口
そうですよ。
■悠木
ずっと貫井作品を読み続けている者としては、今回は弱いんじゃないかな、と。
■野口
個人による小規模なテロが頻発する日本、というのが舞台に設定されています。
■平尾
実際、日本はこんなふうになっちまうんじゃないかと怖くなったよな。社会派ミステリ作家としての面目躍如じゃないか。
■悠木
はい。ただ、貫井作品を愛しているからこそ、今回は辛い点を付けさせていただきたいんです。この作家の代表作となり得るのは他の作品なんじゃないかと…。
■平尾
分かった。でもオレは本命か対抗って言ったからな。貫井さんが受賞したらお前が責任取れよ。
■野口
うわ! ヤな上司ですね!



■平尾
以上、言いたい放題だったが、今回も力のある作品が出揃ったな。
■悠木
皆様にも是非全作品お読みいただいて予想していただきたいですね。
■野口
第151回直木賞、発表は2014/7/17(木)夜です!!
■平尾
「該当作なし」だけは何としても避けてほしいな。


文/有隣堂 加藤泉

【2014/7/17追記】
第151回直木賞に輝いた作品は、
黒川博行『破門』!!

黒川先生、おめでとうございます!

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