


自転車ロードレースを題材にしたスポーツ青春小説でありミステリーの要素を併せもった超傑作。
2008年大藪春彦賞・本屋大賞第2位に選ばれ話題になった作品で、もう既に読んだ人も多いはずだ。
私もいつかは読もうと思いつつも、自分には全く馴染みの無い世界だったため敬遠していたが、この度遅ればせながら読んでみると、これは面白い!
私の想像をはるかに超えたこんなに奥が深いスポーツがあったとは…。
“アシスト”役は、“エース”を優勝させるために自分の順位を下げてまで尽くすのだ。
この“アシスト”役に徹するのが、主人公の白石誓。
そしてチームの“エース”石尾は、その犠牲の上に立ち勝利に執念を燃やす。
ロードレースに命を賭ける男たちのストイックさに心を揺さぶられ、胸に熱いものが込み上げてくる。
伏線も考えつくされていて、完成度の高いパズルのように色々なものがラスト数ページでピッタリとハマっていく。
そして、隠されていたとんでもない結末にしばし茫然。
ミステリー要素もあわせて楽しめる、何とも贅沢な一冊。
まだ読んでいない方は、シリーズ『エデン』『サヴァイブ』『キアズマ』もあわせてオススメしたい。
文/ 新百合ヶ丘エルミロード店・TH
