『ごろごろ にゃーん』こどものとも傑作選/長新太/福音館書店/800円+税
海に浮かぶ魚のような形をした飛行機に、猫たちがゴムボートで乗り込む場面から始まります。
「ひこうきは ごろごろ、ねこたちは にゃーん にゃーん ないています」
海に浮かぶ魚のような形をした飛行機に、猫たちがゴムボートで乗り込む場面から始まります。
「ひこうきは ごろごろ、ねこたちは にゃーん にゃーん ないています」
最初と最後のページ以外、めくるごとに同じ文章が続くのですが、これがまた心地良く、場面だけがどんどん展開していく流れは、何とも言えず、大人である私が読み進めても、気の遠くなるくらい想像力が膨らみます。
画面全体が細い青い線でびっしりと描かれていて、黒い線とほんの少しの黄色が入っているだけであることも、読み手がそれぞれ独自の世界を創り出すようなしかけがあるようにも感じます。
ただ、これは想像で、著者がそんなことを意図しているのか、していないのかはわかりません。
声に出して読むと、しばらくはこの不思議なリズムの虜になっていることに気がつかされることでしょう。
手放しで楽しめる一冊です。
文/ 大和店・MY