


再読が苦手な私が「探求編」「完結編」を読むために再度読みました。
夢中になりました。
主人公の少女エリンの「なぜ、自分も含めて生きているもの全てがこの世に在るのか」という問いへの探究心には涙が出るほどでした。それはエリンの生い立ちを思えばこそ、涙が出てしまうのです。
そして、この探究心のおかげで王獣リランを政治の道具・武器として使うことの抵抗心。でも使うことを決心し、その代償として死ぬことを決意するエリンをリランは救い出します。読んでいて涙が止まりません。
作家の佐藤多佳子先生が「これまでのストーリーが壊れても続きが読みたい!」とおっしゃったとか。私も同感です。そして上橋先生も「そこまで言ってくださるということはエリンもリランも息をしてどこかで生き続けているとしか思えない」とあとがきで書かれていました。再度、私も同感です。
確かにこれで終わりにしても「それもあり」と思えるが、やっぱりエリンとリランのこの先が読みたい。
そして、若人の皆さんにもっともっと本を読んで欲しい。
本を読んで、自分の中にあるいろいろな感情をもっともっと知って欲しい。
その感情を自分の大事な気持ちとして慈しんであげてほしい。
人と違った気持ちだからといって「変」じゃないです。
同じ本を読んで違う気持ちになる人は見る角度が異なるだけで決して「変」ではないです。「そういう見方もあるのか」と“発見”として受け止めて欲しい。
私はこの本を読んで泣ける自分が好きです。
そしてこの本をこの世に送り出してくださった上橋菜穂子先生に感謝しています。
文/ 大和店・MY
