


雑誌や新聞に掲載された随筆などをまとめた本ですがエッセイとも小説ともつかない町田節が小気味良く、ニヤニヤしながら読む面白さはいつも通り。
忌野清志郎についての想い溢れる文章では思わず胸が熱くなります。
今をときめく芥川賞を町田康氏は15年前に受賞していますが、著者はある場所で芥川の映像を6回も繰り返し見たと記しています。
なぜそんなに?
ニューヨークやベルリンへの旅の記録もどうにもおかしく、一体どんな表情で体験し、どんな顔で書いているのだろうとまたもやニヤニヤ。
でも、読んでいくうちにひょいと深いところを覗いたような、はぐらかされたような…。
ふらりふらりと思考の浮雲に揺られて心地よく重く。
秋の夜のお供にどうぞ。
文/横浜駅西口ジョイナス店・MO
