kingyohime『金魚姫』/荻原浩/KADOKAWA/1,700円+税外部リンク 
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主人公の江沢潤は29歳のサラリーマン。
ブラック企業、職場うつ、失恋……と、自分の置かれた状況に嫌気がさし、うつうつと毎日を過ごしていた。
そんなある日の夕方、近所の夏祭りで目に留まった金魚の琉金を持ち帰ったところ、部屋にズブ濡れの妖艶な美女が現れる。幽霊?それとも金魚の化身?
潤はただただ戸惑うばかり。
だが、それ以来、死者の姿が見えるようになったり、大口の商談が成立するなど、潤の周囲で不思議な出来事が次々と起こり始めていた。
のちにリュウと名付けられる美しい金魚の化身や、死者の魂が登場する今回の作品は、まさにファンタジー。

とはいっても、現実とファンタジーの世界が程良く交錯されているので、話に無理矢理感はなく、最後まで楽しんで読むことが出来ました。まるで、大人向けの御伽噺のようです。

ストーリー自体はかなりシリアスですが、潤とリュウの会話のやり取りがとても楽しくて、思わずクスッと笑ってしまいます。とにかくリュウが本当に可愛くて魅力的なので、潤のように彼女にハマってしまう読者がたくさんいたかもしれません。

ラストが近づくにつれて、もの悲しい展開に、とても切ない気持ちになります。
それなのに、この美しい物語の世界に浸っていたい気持ちもあり、最後まで本から目を離すことが出来ませんでした。

これまでとは違った作風ですが、すばらしい内容に仕上がった荻原浩さんの最新作。ぜひ、手に取って、切なくも美しい物語の世界に浸ってみてください。

本厚木ミロード南館店・KH
・2021/3/31以前の記事……税別の商品価格
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