210『終点のあの子』/柚木麻子/文藝春秋/1,400円(5%税込)詳細
都内にある中高一貫教育の女子校が舞台。
有名カメラマンを父に持つ朱里という女の子が高校から入学してくるところから物語は始まる。
誰とも群れず、自分の意見を常に持ち、クラスのどのグループとも仲良くできる朱里は、目立っていてだれもが気になる存在。
この朱里を中心としたお話かと思いきや、朱里からその周辺に話者は変わり、読者の視点も変わる。

あの頃はこんなにも多感だったのか、社会に出るまでの数年間の人間関係はこんなにも難しかったのだった、とはたと思い出した。嫉妬や不安をうまく隠せず、自分が世界の中心に居るかのような錯覚をしょっちゅう起こし、小さな失敗に世界の終わりが来た気分で挫けたりする。

テイーンエイジャーから遠く離れても、まだまだ昨日のことのように、その時の気持ちって覚えてるものだなぁとも驚いた。出会いと別れの多いこの季節に、微妙な心の揺れを共有できる一冊です。

文/横浜駅西口ジョイナス店・AM

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