666『うわさと俗信』/常光徹/河出書房新社/1,500円+税外部リンク 
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夜爪を切るな、
霊柩車が通る時に親指を隠さないとよくないことが起きる、
上の歯が抜けたら床下へ、下の歯が抜けたら屋根へそれぞれ投げる。
などなど小さいころに聞かされた、あるいは言いふらした噂や迷信は思い出せば思い出すほど数多くあるのではないでしょうか。
「口裂け女」や「人面犬」を覚えていますか?
もちろんどちらも実在しませんが、煙のないところに火はたちませんから
根も葉もない話ではないのです。
どこかに基になる話が存在し、尾が付き鰭が付き広まる頃には
改変された内容になるのです。
俗信や迷信は日々の生活に取り込まれ、まことしやかに語られ
時代によって姿形を変えていきます。
自身が小学生のころに聞いた噂話や迷信が
現在の小学生の知っている内容とは違っていてもおかしくありません。
基になった話を追いかける時、出会うのは「民俗学」です。
有名な「誰か」を追及をする学問ではなく名もない「我々」の
伝承文化を追及する学問ともいえるでしょう。

ややもすれば日々の生活の中に埋没し忘れ去られてしまう伝承文化。
「口裂け女」のような荒唐無稽な噂話ですら伝承され文化として生き続けています。
消えては生まれ、生まれては消えする、か細い雑草のような文化。
私はそんな雑草文化にそこはかとない愛情を感じるのです。

文/ アトレ大井町店・HK
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