猫『猫』/石田孫太郎/河出書房新社/660円+税外部リンク 
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この本が刊行されたのが、1910年。いまから100年以上前になります。
ちょうどこの頃、細菌学者のコッホ博士が来日。出迎えた北里柴三郎氏と共に「ペスト撲滅のため、一家に一匹、鼠退治用の猫を飼うべし」と進言したことから、猫を飼い始めた世帯数が急激に増えたとされています。
おそらく猫を飼い始めた初心者のために書いたのであろうこの本は、日本で最初の本格的な猫研究本と言われています。
しかし、初心者に向けての猫の飼育法だけでなく、猫に関する歴史や生態、文学についても幅広く取り上げていたので、最後のページまで、とても興味深く読めました。

著者の石田孫太郎さんは養蚕研究家なので、おそらく捕鼠用に猫を飼っていたと思われますが、「猫の有益性について」よりも、純粋に「猫の魅力を余すことなく伝えたい」という気持ちの方が前面に出ていて、文章全体からは、猫に対する溢れんばかりの愛情を感じ取ることができました。

なにしろ明治時代に書かれた本なので、堅苦しい文語体で表現されています。
最初は読みづらいかもしれませんが、慣れてしまえば大丈夫。
「幻の名著」と言われるだけあって、猫好きの人にとっては、かなり満足度の高い内容だと思います。

今回、初の文庫化となりました。興味を持った方、ぜひ一度本書を手に取って読んでみてください。

本厚木ミロード南館店・KH
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