


わが子を殺すなんてありえない。けれど至る道筋に共感を覚える「衝撃」とは。
同じ名前の息子をもつ3組の家族が母親の目線でそれぞれ描かれています。
読み始め、他愛ない日常の描写は、お母さんて大変よね、程度に映ります。
次第に、息子、夫、取り巻く人々の日常に気をさき、消耗してゆく姿に、ちくりと胸の痛みを覚え。
愛しているはずの存在が、ねぎらいを求めるつもりなどないけれど、無償の愛を注ぐ彼女らに、次第に容赦のない別のなにかにすりかわって行くような気配に。
なんとかやり過ごせる気持ちの持ちようや、周りの人々とのバランスのはざ間で持ちこたえて、かろうじて保たれる日常。
いや待てよ、こんなごく普通の家庭どこにでもあるではないか。ああ、この母たちの内側に芽生えて来るざわめき、気配はすごく理解できる。ラストの展開。
我にかえったのはまぎれもなく自分でした。
誰が成果をはかるわけでもないけれど、気配はやがて幸せにも不幸にもなりうるもの。脆い世界。
それでも誰かの愛情に守られている世界の、自分も愛情をもてる住人でありたい、と思える読後感でした。
文/
ラスカ小田原店・YN
いや待てよ、こんなごく普通の家庭どこにでもあるではないか。ああ、この母たちの内側に芽生えて来るざわめき、気配はすごく理解できる。ラストの展開。
我にかえったのはまぎれもなく自分でした。
誰が成果をはかるわけでもないけれど、気配はやがて幸せにも不幸にもなりうるもの。脆い世界。
それでも誰かの愛情に守られている世界の、自分も愛情をもてる住人でありたい、と思える読後感でした。
文/

