986『分かれ道ノストラダムス』/深緑野分/双葉社/1,500円+税外部リンク 
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身近な人を亡くした人が、
別離からすこし時を経て思う
『もし もっと私が愛していたら
あの人は死を免がれていたのではないか?』

生きられた可能性を繰り返し思い、
引き返す思いから飛躍して突破する女子高生の冒険譚!
1999年、大切な友達で大好きな人の三回忌に
元同級生たちと集った女子高生の主人公・あさぎ。

まだ、在りし日の彼の写真を直視できないほど
その死と向かい合うことを恐れたまま、
そして21世紀目前、至るかもしれない
世界の終末に怯える初夏の街を舞台に物語は始まる。

読者はあさぎの抱える深い悲しみに取り込まれることなく、
彼女と縁深い友人たちにそっと加わって、
あたかも自分も一緒にファミレスのボックス席に座って話を聞く
第三の友達の気持ちでこの物語を読み進めることとなる。

彼が死なずに済んだ可能性を探ることにしたあさぎと
ノストラダムスの大予言を阻止しようと不穏な動きを見せる新興宗教団体。
あさぎたちはしだいに関わり合い、巻き込まれて真実と直面する。

著者前作の長編『戦場のコックたち』同様、エピローグが美しい。
この物語が最後に青春小説として幕を閉じたことを
主人公の友達の目線で読んだ私はとても喜ばしいと思った。

文/ トレッサ横浜店・RM
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